近年、人間の医療の発展がめざましいように獣医学も発展してきており、早期発見・高度な治療により、長生きできる子が増えてきました。しかし、それと同時に目立つようになってきたのが、ペットの介護問題です。ペットの介護は、人間の介護にも劣らないほど大変なものですが、人間と同じように介護休暇制度などを使える訳ではなく、また社会的な援助制度が充実している訳でもなく、いつまで続くか分からない介護に、身体的・精神的に追い込まれてしまう飼い主も少なくありません。

そんな飼い主を支えるのが、「ペット介護士」です。しかしこのペット介護士とは、いったいどのような仕事をする人たちなのでしょうか?また、どのような資格で、どんなところで勤務をする人が多いのでしょうか?今回はそんなペット介護士について、いろいろと紹介していきます。

 

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ペットの介護に関する資格は何種類もある!それぞれを紹介

ペット介護士は、国家資格ではなく、民間が運営している団体が認定している資格です。それも一つではなくさまざまな団体が、資格の名称はそれぞれ少しずつ違いますが、独自にペット介護士の認定を行っています。

そのほとんどは通信講座と試験を受けて、合格すれば認定されるという仕組みです。試験も70%の正解率で合格となるところが多く、難易度もそれほど高くないようです。主なペット関連の介護士資格は次のとおりです。

認定介護士/一般社団法人日本伴侶動物協会

介護士初級課程を修了して、学科試験+実技試験に合格すれば、まずは介護士初級に認定されます。その後、さらに認定介護士課程を修了して学科試験+実技試験試験に合格すれば、認定介護士として認められます。

ここでの認定介護士は次の通り定義されています。

何らかの障がいが出てしまった動物のお世話をするのがお仕事です。シッターと共通することも多いですが、個別の事情に応じたケアが大切です。また、飼育者に個体に応じた飼育の指導をすることもあります。
引用:一般社団法人日本伴侶動物協会

老犬介護士/日本ケンネルカレッジ

約5ヵ月間の通信講座を修了したあと、資格認定証(マスターライセンス)が公布されます。その後、希望者はさらに先へ進むことができ、指定の老犬ホームで実技スクーリングを行えば、資格認定所(インストラクターライセンス)が公布されます。

ここでは以下のことを学びます。

いぬとひと、老化を迎える前にできること、包帯と投薬、トレーニング、応急処置(止血、熱中症、低体温症、誤飲、感電、心肺蘇生)、老化症例、認知症、生活環境の見直し、健康管理、介護用品、多頭飼育のススメ、終末介護、ペットロス症候群、ドッグトレーニングの基本
引用:日本ケンネルカレッジ

動物介護士/キャリアカレッジジャパン

約4ヵ月間の通信講座を修了したあと、試験(在宅)を受けて、合格をすれば認定されます。

本講座では、犬・猫の老化、老犬・老猫の食事・運動・手入れ・住環境・病気などを総合的に学び、老犬・老猫の介護・ケアのスペシャリストになることができます。
引用:資格のキャリカレ

 

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愛玩動物介護士/一般社団法人全日本動物専門教育協会

約6ヶ月間の通信講座を修了後、認定試験を受けて、合格すれば認定されます。

「愛玩動物介護士」とは、犬猫の一生の半分を占めるシニア期に、ペットと向き合うために必要な介護知識を学ぶペット資格通信講座です。家族の一員である愛犬、愛猫をいつまでも健やかに飼養するために、ペットのしつけトレーナー、動物看護師、動物介護士ペットシッターなどの業務に活かすために、必ず役立ちます。シニア期を迎える、または、シニア期のペットと暮らす飼い主様、現場で知識を活かしたいペット事業者様にお勧めのペット資格講座です。
引用:ペットの資格通信通学講座

小動物介護士/一般社団法人日本ペット技能検定協会

協会指定のカリキュラムを修了して、筆記試験に合格すると認定されます。

小動物介護士は自らペット介護を担うだけでなく、愛するペットの状況に傷ついている飼い主様への心を込めたサポートも行う、我が国のペット介護を支える有望な資格です。
引用:一般社団法人日本ペット技能検定協会

ペット介護士/世界の名犬牧場+がくぶん(連盟)

約3ヶ月間の通信講座を修了して、認定試験に合格すると認定されます。

資格認定レベルは次のとおりです。

しつけ、健康管理、グルーミング、獣医師の補助を中心に、ペットに生じた問題に対してのサポートができる知識を持ち、実践できる
引用:がくぶん

(そのほか)ペット関係の資格についてマメ知識

そのほかのペット関連の資格について、知らなければ混同してしまいそうなことを、ここで少し説明をしておきます。

動物介護士と動物看護士は違います

動物看護士は、動物病院で獣医師しか行なえない行為以外の、補助をする仕事です。主な業務内容は、受付や電話対応、清掃、カルテ管理などの雑用が中心です。

国家資格や公的資格ではありませんが、全日本獣医師協同組合、日本小動物獣医師会、社団法人日本動物病院福祉協会(JAHA)などが実施している認定試験が一つの基準となっています。(JAHAの場合は筆記試験の他に、動物病院での勤務年数や、セミナーへの参加が条件となります。)

ペット関係の国家資格は獣医師のみです

ペット関係の資格のなかで、唯一の国家資格です。獣医師の国家資格は業務独占資格となっているため、獣医師の資格を持たない方が診察や治療を業務とすることは禁じられています。

このような介護士はどこにいるの?

ペット関係の介護士は、主に老犬ホームや訪問介護のほか、ペットショップ、ペットシッター、ペットホテルなどのペット関連施設での勤務をする人が多いようです。

しかし、ペット関係の求人情報を見ていると、ペット介護士よりも、動物看護士の方がどちらかといえば需要が高いようです。

介護を頼むときに留意しておくこと

最近は、ペットのデイケアサービスや訪問看護を提供するところも増えてきました。インターネットで検索すると、企業から個人経営と思われるところまで、多くの件数がヒットします。
これらを仕事としているのは、もちろんペットが大好きで、おそらく自身も飼育経験があり、その道に進んだのであろう方々かと思います。
しかし、ペットの介護関係の資格で実技試験を実施しているところは、ほんの一部に過ぎません。それら以外は、通信講座と筆記試験のみで認定されるので、資格を持っているからといって、必ずしも実務経験があるという訳ではありません。犬のケア方法は、犬種によっても異なってきます。そのため、できれば事前にHPやブログをチェックして、そこの介護士はどれほど実務経験が豊富なのか、しっかり確認をしておいてもいいかもしれません。

 

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まとめ

ペット介護士の資格はたくさんありますが、これからペット介護士の資格をとろうと考えている方は、できれば実技試験のある資格を取った方が、雇主としても依頼主としても安心です。また、きちんと実践を積んでおいた方が、いざ現場に出たときの自信にもつながるでしょう。

 

それから逆に、ペットの飼い主の立場の方は、あまり無理をしすぎずに、老犬ホームや訪問介護に頼ってもいいのではないかと思います。基礎的なことを学んだペット介護士がいるところなら、きちんと正しい知識に基づいて大切にしてくれるはずです。ペットの介護は、実際に経験したことのある人でないと、なかなかその苦労が分かりません。ときには肉体的に、また精神的にかなり消耗して、つらくなってしまうこともあるかもしれません。そんなときは一人で抱え込まず、頼れるところに頼ること。そうすることは、きっと飼い主の方自身のためにも、大切なペットのためにもなるはずです。

 

ペットも長生きをするようになってきた昨今、ペット介護士の仕事は、とても重要な役割を担うのかもしれません。ペット介護士として、その知識や経験を活かし、介護に悩む飼い主の方の支えとなりますように。そしてひとりでも多くの飼い主の方が、できる限り長く、愛するペットとの幸せな時間を過ごすことができますように。


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