斜視ってご存知ですか?両目の視線が同じ方角に合わなくなること、あるいは合わなくなっている状態のことで、人間では3%に見られるとされる研究もあるくらい、比較的よくある症状です。ハッキリと症状が分かりやすい場合だと、目の片方、あるいは両方がそれぞれに違う方向を見ているようにも見えるので、外見から角度の違いを感じる場合もあります。

そんな斜視ですが、実は犬にもあるのです。犬は人間とは視野が違うので、視覚に影響ないとはいえ、原因は何?治療しないといけないものなの?と心配になる飼い主さんもいらっしゃるかと思います。

では犬の斜視とはどんなものなのか、詳しく見てみましょう。

意外と多い犬の斜視

斜視ってどういう状態なの?

片方の目がまっすぐ前をむいている状態の時、もう片方も同じく前を向いているのが正常な状態です。これに対し、どちらか片方の目線が外側や内側、上下のどちらか、あるいは斜め方向など、もう一方と同じ角度(この場合はまっすぐ前)に視線をむけられないのが斜視です。

斜視”と一口に言っても程度は様々で、よく見てもあまり分からないという程度のものから、明らかにちぐはぐな方向を向いているよね、とすぐに気づけてしまうレベルのものまであります。見た目でものすごくよくわかるほど斜視がキツイ犬の場合、飼い主が過度に心配したり、理解が得られず飼う事を敬遠されてしまう事もあるようです。斜視の犬の多くは先天性の疾患ですが、他の疾患が原因の場合もあることから、子犬を新しく迎え入れる時に心配している方は結構多いようです。

ちなみに、子犬で斜視に見える状態の場合、そのほとんどは”瞬膜”によるもので、斜視ではありません。犬には、目頭側に瞬膜という角膜保護のための膜があり、第三の瞼ともいわれています。子犬の時期は、この瞬膜が出てきて目立っていることがあり、瞬膜が飛び出て見えるせいで斜視のように見えるのです。(成長するにしたがって目立たなくなります)このような場合には、よーく見ると視線はまっすぐの場合が多いです。

ただし、子犬の時期はまだ目を動かす筋肉の力が弱いこともあり、斜視じゃなくても焦点を合わせられない場合もあります。経験豊かな獣医さんが見ると、斜視かどうか分かるかもしれませんが、正確には成犬になってみないとわかりにくいと言われています。

斜視がよく見られるのはどんなコか

斜視が多いと言われる犬種

比較的斜視が多いと言われているのは、小型の犬だと言われています。実際、パグやチワワ、ブルドッグ、ボストンテリア、シーズーには斜視の子が多いです。大部分の斜視の原因は先天的なものですが、隠れ斜視と言われる「斜位」のように、目を動かす筋肉の動きが発達し、何かを見る時だけ両目を同じ方角に向ける事ができるようになる事もあるため、子犬の時期に斜視があっても成犬になるに従って治ってくる、または治っているように見える事もあります。

病気が原因の斜視

犬の場合、斜視の原因は先天的なものですが、何パーセントかは後天的な原因による場合もあります。それは主に次のようなものです。

・水頭症

水頭症とは、頭蓋骨の中に水が溜まることで脳内の圧力が高まり、様々な症状が現れます。また、この病気そのものにも先天的なものと後天的なものがあります。

水頭症が原因で現れる症状のひとつに、斜視があります。とはいえ、斜視だから水頭症というわけなのではありません。診断にあたっては、よく物にぶつかりやすいとか、くるくる回るなどの、日常生活に影響が出るような症状が複数出ているか等と合わせて神経系異常がないかを検査します。慎重に診断し、水頭症による様々な影響が高いようであれば、専門的な処置のできる病院で手術をする事もあります。ただ、生活にそれほど影響がないようであれば無理に手術をせずに、薬で抑えつつ様子をみることになります。

この病気は1歳までの子犬に多いとされ、生後2~3ヶ月ごろから診断ができることが多いようです。

・脳腫瘍

脳腫瘍は、どちらかというと高齢の犬によく見られます。意識障害やてんかん、嘔吐などを伴なう場合もあります。腫瘍ができる場所によって症状は様々で、他の病気と間違えれらる事もあります。この症状の一つが斜視や、眼球の揺れになります。

脳腫瘍は、いつの間にかできる場合が多いですが、外傷によってできる事もあるとされています。治療法としては、抗がん剤治療や放射線治療が必要となりますが、お医者さまと相談しながら愛犬に合った方法を選択していきます。

・角膜ジストロフィー

片目または両目の角膜に白っぽい斑点のようなものができる病気です。原因は遺伝的なものだろうと言われており、治療法はまだ確立されていませんが、失明に至ることはないとされています。徐々に病気の箇所が膨らむ場合があり、角膜に潰瘍などができるとそのせいで物理的に斜視になってしまうこともあるようです。

・怪我

犬同士の喧嘩や、噛みつきなどで目の付近を怪我した場合、直接斜視に結び付くことがあります。また、交通事故などで脳になんらかの損傷を負った場合も目に影響が出る場合があります。頭や目の周辺を激しくぶつけてしまったり、神経系に損傷を負った、などの場合は斜視になる場合もあるのです。

斜視の治療は必要なの?

斜視の原因として、後天性の原因が潜んでいると思われる場合は、そちらの病気やケガを治療する必要があります。でも、先天的な斜視の場合は、ほとんど治療は不要です。というのも、モノを見ること自体には影響がなく、問題なく生活できる場合がほとんどだからです。

ただ、まっすぐ歩けずぐるぐる回ってしまったり、よくものにぶつかって見えにくい様子があるほど視軸のズレが酷いとか、なんらかの生活上の支障が大きく出ている場合は、視軸を合わせるような手術を行うこともできるようです。ただし、こうした手術は大きい病院でないとできませんし、手術する事でかえって視力に悪影響が出るリスクもあります。そのため、生活上に支障がないようなら、無理に手術などはせずにそのまま普通に育てていくだけで問題はないのが、先天性斜視です。

最初に後天性か先天性かを見分けるのは獣医さんでないとわかりませんから、気が付いた時点で念のために診断をしてもらい、重大な病気が潜んでいないかどうかは確認しておくとよいでしょう。もしも何らかの病気が見つかったなら、その病気の治療を行いましょう。

よく、「斜視は先天性の病気だから何か他にも異常があるんじゃないか」とか、「斜視の子は身体が弱い、他の病気にもなるんじゃないか」などど思い込んでしまい、斜視を疑われる犬を飼うことを嫌がる人もいるようです。既にご紹介したように、斜視はほとんどの場合は先天性で生活に支障がなく、治療の必要がありませんので、安心してくださいね。

 


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