見た目が可愛い犬の「肉球」。犬を飼っている人の多くが、大好きなパーツの一つとして挙げるのではないでしょうか。
肉球ってぷにぷにしていて、ほんのり独特なニオイもして、なんとなく愛着がわきますよね。この肉球ですが、実は意外と繊細なものだってこと、ご存知でしたか?
今回は愛犬の肉球ケアで間違えがちな方法と、正しい方法とを解説してみましょう。
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そもそも肉球とは
肉球は、犬の足裏についているプニっとした柔らかい部分のことをいいます。毛がそこだけ生えていないので、むき出しの肉のように見えますよね。この肉球、飼い主でも意外と構造や役割を詳しく知らないことも多いのです。それぞれに詳しく見てみましょう。
肉球の構造
肉球の一番外側は厚い皮膚に覆われています。硬めの皮膚の下に脂肪と線維細胞のエラスチンとコラーゲンが混在していて、あの気持ちの良いプニっとした弾力は、この皮下組織の構造が生み出しているのです。そしてワンちゃんの体で唯一、汗腺があり、さらっとした汗をかきます。
肉球の名前
肉球の形は、かわいらしい形であることから、デザインや柄として使われているのを目にすることも多いですよね。この、デザインに使われる独特な形をした足先の部分と、それ以外にも、足首寄りにもう一つの小さな肉球が存在します。
このそれぞれの肉球には名前がついていて、次のように呼ばれています。
- 指球/趾球(しきゅう)・・・その名の通り、4本の爪が付いている指にあたる部分の裏にある肉球です。前足と後ろ足とでは字が異なりますが呼び方は同じ「しきゅう」です。
- 掌球(しょうきゅう)/「足底球」(そくていきゅう)・・・人間でいえば手のひらにあたる部分にある、大きめの肉球です。こちらも前後の足で呼び名が違い、前足は「掌球」、後ろ足は「足底球」と呼びます。
- 手根球(しゅこんきゅう)・・・足首寄りにある小さめの肉球です。地面に接しない、退化した肉球ともいわれています。
肉球の特徴
肉球って、触ると意外にザラザラしていますよね。成長するにしたがって、子犬の時よりザラザラ感が増すようです。
このザラザラは、実は細かい突起の集まりです。見た目ではツルツルしているようにも見えるのですが、よく拡大して見てみると、円錐状になっています。まさに天然のスパイクと言えそうですね。
肉球の役割
肉球は、滑り止め、クッション、センサーの3つの役割を果たしています。
- 滑り止め・・・先に書いたとおり、肉球にある円錐状の突起はブレーキの役割を果たしています。
- クッション・・・そして肉球は脂肪が多いので、クッションの役割を果たしています。衝撃を和らげるという役目だけではなく、急激な温度変化からも身を守っています。
- センサー・・・さらにこの肉球の中には神経も多く通っているので、地面の状態や、地面から伝わってくる振動を感知することができます。
肉球ケアって必要なの?
昔、屋外で犬が飼われていたころには、「犬の肉球ケア」という考えなんてなかったですよね。でも今は、必要だと言われています。一体なぜなのでしょうか。その理由を一つずつ見てみましょう。
理由その1:アスファルトでの散歩
アスファルトには化学薬剤が使われているため、肉球が硬化し、角質化してしまう危険があります。そのうえ、夏場などは高温になるため、肉球が火傷したり、乾燥やひび割れることもあります。危険物を踏んだり、尖ったものが刺さる危険もあります。
理由その2:乾燥から守る
冬になると、人間でも肌が乾燥しますが、ワンちゃんも同様です。肉球も乾燥し、室内の床で滑る、転ぶと言った危険性があります。
最近の住宅では、フローリングが使われていることが多く、ワンちゃんの足腰への影響心配されます。表面がツルツルとしたフローリングは、ワンちゃんが歩くと滑ったり膝への負担をかけるため、滑り止めワックスやワンちゃんが歩くことを考慮した特殊なフローリング材などを使っている方もいますよね。特に肉球が乾燥すると、さらに滑りやすくなりケガなどの要因ともなるため、乾燥ケアが必要です。
理由その3:犬が長寿になってきた
ペットは家族同様という考えの方が増えています。家族の一員として大切に育てているので、食事内容が良く、医療も充実しているということもあり、平均寿命はどんどん延びていています。その結果、仕方がないことではありますが、シニア犬の介護をするという飼い主さんも多いです。
老化により角質層が分厚くなると、そこからあかぎれを起こしたり、雑菌が入って炎症を起こすこともあります。だからこそ丁寧なケアが必要になるのです。
それダメ!肉球にダメージを与えるかも
普段何気なくしていることが、肉球にダメージを与えているかもしれません。肉球ケアを丁寧にしなくてはと思っていたのに、当たり前と思って行っていたことでかえって肉球に悪影響だったり。
では、どのような行動が肉球のダメージになるのでしょうか。
散歩でアスファルトを歩かせる
アスファルトを例えるならば、夏は鉄板、冬は氷の上の様な状態です。その上を、肉球が直に触るとなるとダメージが無い方がおかしいですよね。
実際のところ、肉球が乾燥する一番の原因は、アスファルトの上を歩くお散歩とも言われます。また、アスファルトの上を歩く過酷な状態が続くと、この刺激によって肉球は硬くなり、乾燥してひび割れ、傷となることがあります。
散歩のあとに足を洗う
散歩のあとで足をキレイにしなければいけないと思って、毎回足を洗っていませんか?意外にも、この行動も肉球ダメージの原因となってしまいます。
頻回に足を洗ったり、きれいにしようとして必要以上に除菌ペーパーでゴシゴシ擦る、と言ったことは、肉球の水分を守る膜まで取り去ってしまいます。さらに、揮発による水分蒸発のために肉球が乾燥しやすくなり、乾燥ダメージをひきおこしてしまいます
また、水分が付いたまま放置しておくと、雑菌やカビが繁殖してしまい、皮膚炎の一種である指間炎を引き起こしたり、足先の毛だけ赤く変色してしまうなどの原因となります。
毎日の肉球ケア、おすすめ方法とは
肉球にダメージを与えてしまうと、人間が想像する以上に愛犬にとっては辛い想いをさせてしまっているのかも…。そこで、毎日の肉球ケアを行いましょう。おすすめなのは、クリームを使ったケアです。
肉球に使えるスキンケア剤には、クリームの他にもジェル、ミツロウ、ローションなどいくつか種類があるのですが、クリームは保湿効果もあるので、乾燥を防ぎ、肉球ダメージから守る目的で使用するのもよいでしょう。
では、肉球ケアの方法を詳しく見てみましょう。
蒸しタオルで肉球を拭く
蒸しタオルを用意して、足裏をやさしく、でも細部まできれいになるように拭きます。ポイントは、硬くしぼった蒸しタオルを使うことです。タオルがビショビショのままだと、結局水で洗うのと大差なくなってしまいますので、かえってダメージを与えかねません。
蒸しタオルでやさしく拭いてあげるときれいになるだけでなく、硬くなっている肉球を柔らかくほぐすマッサージができるという利点もあります。
肉球にクリームを塗る
足裏がきれいになったら、肉球に薄くクリームをつけてマッサージしていきます。優しいタッチでマッサージすることで、血流を良くし、硬くなった部分をほぐしていくことができます。
余ったクリームはティッシュなどでふき取っておきましょう。余分なクリームがついたままだと、かえって雑菌の温床になります。
足に靴下を履かせる
肉球ケアの最後は、靴下を履かせてクリームを浸透させます。靴下を履かせることで保湿効果も得られるので、肉球に程よい水分が保たれます。また、「お薬やクリームなどはすぐなめちゃう」という子でも、靴下を履かせれば足を舐めてしまうことも防止できます。
ただし、あまり長時間靴下を履かせっぱなしだと今度は蒸れてしまいますので、しばらくしたら脱がせましょう。
まとめ
今回の記事では肉球ケアについての情報をご紹介してみましたが、いかがでしたでしょうか。
肉球ケアはそれほど必要ない、とする人も中にはいるでしょう。ただ、最近の生活環境には、肉球ダメージの要因となる環境リスクが多くあります。からだの一部の不調であっても、ストレスになるのは人間もワンちゃんも尾内です。一度ケアの必要性をじっくり考えてみてくださいね。
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