「シニア犬になってもずっと元気でいて欲しい!」

という考えは、愛するワンちゃんのオーナーにとっては共通の想いではないでしょうか。

ずっと元気でいてもらうため、長生きしてもらうため、食事内容はずっと同じがいいのか、変えた方がいいのか、どちらなのでしょうか?

人間で考えてみると、若い時はジャンクフードを食べていても健康上まったく問題はないかもしれませんが、老人になってくると栄養に気を遣うようになったりもしますよね。犬もまったく同じ。シニア犬になったら今まで以上に気を付けたいポイントがあるのです。

今回は、そんな犬に必要な栄養、特にシニア犬に焦点を当てて説明いたします。手作りご飯を作る時の参考にしてみてくださいね。

犬に必要な栄養って何だっけ?

犬の〇大栄養素、いくつだと思う?

そもそも、犬に必要な栄養って何なのでしょう。

人間なら、タンパク質、脂質、糖質の三大栄養素が大事だよ、とよく言われますよね。三大栄養素は、人間の身体を作ったり、活動したりするための大切なもの。

じゃあ、犬にとっての大切な栄養素って何でしょうか。なんとなくタンパク質は思い浮かぶかもしれませんが、他には何?と思いつかない人も多いでしょう。

実は、犬にとって「〇大栄養素」の〇に入る部分って、6だと言われています。

六大栄養素!多い!!

必要な栄養素、内容は?

では、その内容は何かというと、水、タンパク質、脂質、炭水化物、ビタミン、ミネラルです。

「水は栄養素?」ということで、5大栄養素+水と言う方もいますが、ここでは6大栄養素ということにします。

この6大栄養素の中で、必要な割合が多いのは、水、タンパク質、脂質だと言われています。後半の3種類である、炭水化物とビタミンとミネラルは、犬の年齢や個体差によって割合が変化しますが、食事の中でおよそ2~3割があれば良いと言われています。

その割合の多さを考えると、犬にとっての3大栄養素は水、タンパク質、脂質だと言い換えてもいいのかもしれませんね。

犬の主食はお肉

ワンちゃんは基本的に肉食なので、肉=タンパク質はメインの食材です。食事のうちの多くの割合を多く占めるので、その鮮度にはこだわりたいところです。できれば、新鮮な肉を選ぶようにしましょう。

そして、資質についても動物性の脂質が必要不可欠です。脂質と言うと、人間にとってはダイエットの大敵だとか、摂りすぎは様々な病気のもとになると言われています。そのため、脂質=悪者のように扱われる事も多いのですが、犬にとっては大事な栄養素です。これは、シニア犬に限らず全ての世代の犬にとっても同じです。

新鮮なお肉を多めに与えるように意識しましょう。

水を欠かさずに

そして意外に忘れがちなのが水。カリカリと言われるドライのドッグフードの場合は、特に水分補給を忘れないようにしなくてはなりません。人間だって1日に2リットル程度の水分が必要と言われることありますよね。これと同じように、犬の体内活動にも水は不可欠なのです。

手作り食の場合には、水分を十分に含むレシピが多いので、水分不足になりにくいのですが、ドライフードを食べている子の場合には、どれくらいの水を飲んでいるのか意識してチェックするようにしてあげましょう。もし水だけで飲むことが少なければ、食事の時にフードを水でふやかす、水分を含んだ野菜などのトッピングをする、などして水分不足にならないよう注意してください。

淡水化物、ビタミン、ミネラルも忘れずに

犬は肉食と言いつつ、炭水化物も必要です。実は、犬に炭水化物は必要か不要か?という点では、専門家のかなでもいろいろなご意見が分かれているところなのですが、ひとつ言えることとしては、体質として炭水化物が必要な子もいる、ということです。

ビタミン、ミネラルは割合は低いのですが、大切な栄養素です。質の良い物や、ワンちゃんが好んで食べる食材などで摂取するといいでしょう。

シニア犬の栄養、ここに注意

シニア犬にとっても、基本的な栄養素は他の年代の犬と同じです。ただ、高齢になってくるといくつか注意したい内容が出てくるのは、人間と同じです。

シニア犬と一口に言っても、その老化の段階はいくつかありますよね。そこで、ここからは一般的にドッグフードなどにも書いてあるシニアとかハイシニアといった表現で注意点を分けてみました。

シニア期の栄養

シニア世代の中でもまだ若い頃、人間でいえば中年に近い世代になります。この頃は、代謝機能の衰えからくる肥満が心配になってきます。そのため、シニア初期の栄養的な観点で注意しなくてはならないのが、低脂肪でカロリー控えめな食事ということです。

食欲は旺盛なままなので、今まで通りの食事内容を同じ量挙げてしまうと、肥満になってしまう可能性もあります。肥満になると歩行機能に支障が出たり、腰の負担によってヘルニアになるなんてリスクも。

だからと言って、食事量を減らしてしまうと、タンパク質摂取量も減ってしまい、筋力が低下してしまう可能性もあります。低カロリーでありつつも、タンパク質はしっかり摂取して筋力を衰えさせない必要があるので、シニア向けのドッグフードにはタンパク質が多めに入っていることもあります。

また、可能ならヒアルロン酸やグルコサミンといった、関節ケアができる物質を多く含む食材や、リコピンなどの代謝を良くする栄養素を多く含む食材をプラスするのもおすすめです。

ハイシニアに近づいていくにつれ、食べる作業が難しくなってきたと感じたら、食事に混ぜる食材を今までより細かくしてあげたり、水分を多めに含ませて食べやすくすると言った工夫も必要です。

ハイシニアの時期

消化吸収を気にしてあげて

シニア後期、ハイシニアに入ってくると、今度は消化吸収機能が落ちてきますので、しっかり食べていたとしても痩せやすくなってきます。そのため、消化吸収の良い食べ物に切り替えてあげましょう。

タンパク質の摂取は必須なのですが、脂質は吸収しづらくなってきます。そのため、脂質は減らし気味にして、その分エゴマ油などの必須脂肪酸を含む食材をプラスしてあげて、免疫力を維持したり、アンチエイジング作用のあるオリーブオイルなどの抗酸化栄養素をプラスするなどの工夫をしてあげると良いと言われています。

食材の選びや調理の注意点

また、咀嚼しやすく・消化しやすいように、できるだけ食材を細かくしてあげるのも有効です。それと同時に、歯がもろくなったり、匂いに鈍感になるなどで食欲が落ちてしまうこともありますので、匂いのハッキリしたレバーなどの食材を少量使ってあげると食いつきがよくなります。

消化吸収を良くすることと、食べやすさを重視しつつ、少ない量でも1日に必要な栄養素を満たさなくてはなりません。そのため、良質なたんぱく質を多く含みつつ、高カロリーなパピー向けのフードを混ぜるといった工夫もあります。

ハイシニア期は、基本的な栄養素は変わらないものの、効率よく栄養をとれるような工夫と、認知症などの症状の予防対策に力を入れた食事内容にすることも必要になってきます。

愛犬の様子を観察してフードを変える勇気も必要

完璧な栄養フードってあるの?

犬用のフードについては、「今までずっとこれを食べてきたから」とか、「ドッグフードは完全栄養食だからそれ以外をあげるのは不安」という考えの方もいらっしゃるかもしれませんね。

でも、よく考えてみてください。もしも私たちが、カロリーバーやエナジバー、サプリメントだけを摂取していたら、本当に健康でいられるのでしょうか?

これらはあくまでも、栄養補助食品や栄養調整食品と言われる一般食品です。つまり、本来様々な食材を食べることで摂取しなければいけない栄養素を、忙しい時や食欲がない時に、簡単に補うためのもの。つまり、これだけを摂取していたからと言って健康的でいられるとは言えないのです。

人間でも、病気などで食事を口から摂れなくなった方が、胃に穴を開けて流動食を流し込む「胃ろう」をする時があります。流動食は、きちんと栄養を考えて高カロリーな液状の食事なのですが、やはり胃ろうだけでは十分ではなく、長期化すると体力が無くなっていくと言われています。

ワンちゃんだって同じです。きちんと色々な食材から、必要な栄養素を、口から摂取することが大切なんですね。

高校生と老人の食事内容は違う

年齢と共に変わる身体の内側を考える

人間で考えると、高校生と同じ食事内容をおじいちゃんやおばあちゃんが食べますか?

食べられませんよね(笑)

まず、代謝能力が変わるので、食べる量も変わりますし、味の好みも変われば、同じ内容だと老人は胃もたれしたり、逆流性胃腸炎になる、便秘や下痢をするということなどが考えられます。気持ちは若い頃と変わらなくても、身体は確実に変わっているので、若い頃と全く同じ食事内容・食事量は身体に負担をかけてしまうのです。

また、特定の物だけを食べ続けることで、アレルギーや皮膚疾患、慢性的な体調不良などが起こる可能性もありますよね。

ワンちゃんも同じことで、今までずっと食べてきたフードもシニアになって胃腸の負担が大きくなったり、食べ続けてきた結果特定の栄養素に偏りが出てしまっている、などの慢性的な問題が起きているかもしれません。

飼い主さんは、愛犬の元気や食欲、排泄物に変わった点が無いか、毛艶は良いかなどを観察し、適宜食事内容をカスタマイズしたり、変えていく勇気が必要です。

過去にとらわれず素直にワンちゃんの様子を見て

ワンちゃんの健康と長寿のための食事で最も大切なことがあります。それは、飼い主さんがワンちゃんを観察すること。日ごろからのワンちゃんとのコミュニケーションやブラッシング、シャンプーなどのケアを通して、よく観察することが必須です。

変化や改善点に気が付いて、その時々で食事内容を見直していく必要があります。「今までの食事」や「今までの知識」にとらわれすぎず、都度考えてみましょう。

ワンちゃんに必要な栄養についても随時情報は新しくなります。世の中の今ある情報だけが正しいのではなく、飼い主さんの勉強も必要なのですね。

参考:

愛犬に必要な6大栄養素について


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