生肉って聞くと、人間にとっては厳選した新鮮素材でないと口に入れるのはちょっと危険な感じがする人も多いのではないでしょうか。加熱処理しないと、寄生虫、ウィルス、病害菌などなど様々なリスクがそのまま口から入ってくることになるからです。
しかし、犬にとってはどうなんでしょうか。犬はもともとは肉食ですよね。野生にいる犬はあたりまえのように生肉を食しています。
果たして、現代の家犬にとっては肉は良い物なのでしょうか。悪い物なのでしょうか。
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犬に生肉をあげるメリット
犬は生肉に適した体をしている
人間と犬は、見た目はもちろん違いますがそれ以上に消化器官において大きな違いがいくつかあります。例えば、腸の長さ。人間は炭水化物が主食です。炭水化物の多くは穀類からとれますが、植物は腸でゆっくり分解吸収されていきます。どれだけ胃酸で溶かしてあっても吸収されにくいのです。そのため人間の腸は犬の3倍以上の長さがあります。草食動物だと、もっと長い腸をしています。
逆に言うと、犬は人間の腸の長さの3分の1しかありません。という事は、それだけ消化吸収しにくい食べ物は吸収されにくく、植物よりもより消化吸収されやすい肉類でエネルギーを補給してやらなければならないという事です。人間の感覚であれば、体調の悪い時に消化によい食べ物としておかゆなどを食べるかと思いますが、犬の場合にはお米などの炭水化物より茹でたささみなどの肉の方がいいと言われるのはこのためです。
一方で、犬は胃酸の強さが人間の20倍ほどだと言われています。そのため、骨だろうが生肉だろうが、しっかり溶かして腸で素早く吸収できる作りをしています。そのため、人間のように口でかみ砕いたりすりつぶしたりせず、丸のみしたとしても胃で溶かせるのです。ゴロっとした肉は、人間にとっては胃もたれしやすくなりますが、犬にとっては消化吸収しやすい食べ物であって、野菜や穀物よりも、動物性タンパク質が豊富な肉類の方が犬の食事には適しています。
そもそも、人間がいなければ犬が自分で肉を加熱する事がないという点から見ても、本来は生肉に適した体をしていると言っても良いでしょう。
生肉と熱処理した肉のどちらがより吸収されやすいかは意見が分かれる
人間と犬とでは、やはり消化が得意な食物の種類が違っています。それは消化酵素の働きや消化液の違いによるものですが、犬は人間に比べて、より脂肪やタンパク質を分解しやすく、肉類は栄養吸収されやすいと言えます。
ただ、熱処理したものと比べて生肉の方が様々な栄養素を壊さずに摂れる、あるいは乳酸菌など有用菌をそのまま摂れるので消化吸収されやすいと考えている方と、熱処理した方が変性し、タンパク質の元となるアミノ酸をよりしっかり吸収できるのだと考えられている方とがいらっしゃいます。これはどちらがより良いのかという結論は決まっていません。
熱処理した肉からは脂肪が減るのは間違いないのですが、タンパク質の吸収がより良いとするなら、結局どちらを与えたいかは飼い主さん次第になるでしょう。
なんといっても生肉は犬が喜ぶし毛艶も良くなる
細かい話はさておいて、犬は、理屈ではなく生肉を与えられるとものすごく喜んで食べます。味が良いのか食感が良いのか、はたまた匂いなのか。その幸せそうな食事風景を見ていると飼い主まで幸せになってきますよね。
ついでに言うと、その因果関係がはっきり証明されているわけではありませんが、多くの飼い主が愛犬に生肉を与えると毛艶が良くなってきていると感じているようです。最近では生肉ローフードを売り出している所もでてきました。人間用生食用の肉のように、ある程度安心安全が確保されている生肉なら、試してみるのも良いかもしれませんね。
生肉食の口コミ
夏バテした愛犬が何も食べなかったので、こちらを犬用のスープに入れてあげたら、全て食べてくれて泣きそうに嬉しかったです!
今は、ドラフードの上にトッピングするだけでも、食べてくれます!
引用 Rakuten みんなのレビュー https://review.rakuten.co.jp/item/1/235161_10000553/1.1/
アレルギーが酷くなった時期があり、それからずっと療法食のドライフードを利用しています。
シニアになり、できものが増えてきたこともあり、また胃腸が弱い子なので、もっと安心できるフードに変えれないかと本を片手に生食にチャレンジしてみることに。
1回目は、恐る恐る食べている感じでした。ドライの時は、呼んでやっと食べに来る感じでしたが、生食3日も経つと、解凍してる間からまわりをウロウロ待ちきれないみたいです。食べるのは一瞬過ぎて物足りなさそうに見えるぐらいです。嬉しそうに食べてくれると飼い主も用意しがいがありますね!
アレルギーの反応が出なければ、このまま様子を見ながら続けたいと思います。
引用 Rakuten みんなのレビュー https://review.rakuten.co.jp/item/1/235161_10000553/1.1/
もうすぐ14歳になるヨークシャーテリアが毎食、ドックフードに混ぜて食べています。
(中略)
そろそろ1ヵ月くらい食べていますが、体もしっかりしてきて、今でも階段を駆け上がるし、散歩の距離も伸びてきて、人間の方がついていくのが大変です。
引用 Rakuten みんなのレビュー https://review.rakuten.co.jp/item/1/235161_10000553/1.1/
ネットで検索していると、生肉に関する注意事項が大多数を占めているのかとおもいきや、意外と「私も生肉与えているよ!」というブログや口コミも多かったです。
みなさん精一杯注意して調べて、結果納得のいく形で生肉を与えていらっしゃるようですが、いずれもとにかく食いつきが良いという口コミが目立ちました。愛犬が生肉ご飯をペロッとあっという間に食べて、用意している間も待ち遠しそうに待っている・・・。食欲が落ちたり、病気がちだったワンちゃんがそんな様子になったのなら、ならなおさらです。
一説にはペット化して数世代経ってしまっている犬の体の機能は、もう昔ほど生肉を満足に分解できないのだとか、生肉を喜ばないようになっているとかの話もあります。ですのですべての犬に当てはまるかどうかは不明ですが、こちらの口コミをされた家庭の犬たちには合っていたのでしょう。タンパク質など栄養素が充分吸収されて元気になっている様子がよくわかります。
犬に生肉をあげるときの注意点
犬に生肉を与えたいと考えるか、やはり危険だからわざわざあげなくてもいいと考えるかは、人それぞれです。でも、もし生肉のメリットを重視して犬にあげたいと考えたなら、次の点には重々気を付けて与えるようにしましょう。
生肉の中でも避けた方がいい肉
鹿肉・・・サルモネラ菌、大腸菌などによる感染症や食中毒あり。寄生虫もかなりの確率で保有しているので避ける。 牛肉・・・アレルギーがある犬も多い。細菌による感染の恐れもあり。ただし犬用に販売している所もあるので品質次第。 豚肉・・・寄生虫や細菌、ウィルスによる中毒の可能性大。絶対にNG。 鶏肉・・・やはり細菌やウィルスによる中毒の可能性があるが、犬用に販売している所もある。品質次第。 馬肉・・・他の肉に比べると雑菌が定着し辛いので安全性が高い。ただし、寄生虫のリスクは0ではない。捌いた直後だと要注意。市場に出ている一度冷凍された肉なら厚生労働省の食中毒対策済みと言えるので安全性はある程度補償されている。 |
上の肉以外にも、ラム肉やその他のジビエで供されるような肉がありますよね。いずれも生で与えるのであれば、菌や寄生虫のリスクはパーセンテージには違いがあっても0にはなりません。適切な殺菌処理をしていると思われる人間が食べる生食用の肉だって、究極のところはそうしたリスクがないわけではありません。
それを言ってしまうときりがありませんが、どこかで折り合いをつけ、せめて信頼のおける業者から鮮度の良い物を冷凍処理とか、殺菌処理などのしっかりした処理をしている肉を購入し、小さめに切って与えるようにしましょう。ペット用に専門に売り出している店もありますのでそちらを利用しても良いでしょうし、人間用の「生食用」と表示されている肉を購入するのでも良いでしょう。
初めて生肉をあげるときは、アレルギーが出る恐れもありますので、最初は必ずひとかけとか、スプーン一杯程度とか少量ずつ与えて様子を見て、少しずつ慣らすようにしてあげてくださいね。犬の胃酸は人間に比べて20倍も強く、人間よりも免疫力もあるので菌や虫も平気だと考えられる専門家もいらっしゃいますが、抵抗力が野生の時のままとは限りません。実際に体調を悪くしている犬もいるわけですから、リスクは0ではないと思っておいた方がよさそうです。
生肉OKなら生魚もOK?魚はここに気を付ける
魚肉はなんとなく猫の食べるものというイメージもありますが、実は犬にとっても魚はOKな食べ物です。実際ドッグフードにも含まれている商品もあるくらいです。
魚からは良質なたんぱく質を得られますので食材としてはよいもので、鮮度の良い刺身なら与えても良いでしょう。ただし水銀などの食物連鎖による有害物質の微量蓄積は人間同様リスクがあるのであまりたくさん与えないことです。魚の場合は骨が硬く、鋭いので丸ごと与えるのはNGです。必ず骨は小さい物も取り除いてから与えましょう。
犬は人間のように食べ物をよく噛んですりつぶして食べることはせず、よく噛まずに丸のみしがちなのが特性です。そのため、魚の小骨をそのまま飲み込んでしまって喉や、食道、胃などの壁を細かく傷つけ、そこから炎症を起こしても大変です。
また、アニサキスなどの寄生虫はサバやイワシ、カツオ、鮭、サンマ、アジなどの内臓に寄生するので、これらの内臓は加熱してから与えましょう。刺身もこれらの虫予防のために細かく切ってから与えるとなお良いです。
生肉を与える量や割合
加熱した肉の場合も生肉の場合も、基本的に量はあまり変えなくても良いです。
一日に与える犬のご飯に含まれる肉の割合は、手作り食を頑張っていらっしゃる方なら知っているかもしれませんが、肉6:野菜果物2:穀類2です。(諸説ありますがざっくりと肉の割合は6割前後です)毎日100%生肉だけにしてしまうと、どうしても栄養素が偏り、不足してしまいます。最初は少しずつ切り替えていくとか、ドッグフードだった方は少しずつトッピングしていくようにして、徐々に割合を変えて行ってくださいね。
そもそも生肉を毎日買おうと思うと、まめに買わなければなりませんし(鮮度が大切ですから)、生食できるレベルのお肉を売っているお店までわざわざ行くので時間もかかりますし、生食の方が若干お値段も高いですから、お財布にも痛いですよね。そのため、犬のご飯を全て生肉にするわけではなく、おやつがわりとか、週に1度とかでチャレンジされている方もいらっしゃいます。
また、完全に生肉だけにしてしまうと旅行時にペットホテルに預け辛くなるという問題もあります。ペットホテルなどでは、生肉は断られてしまう事もあるので・・・。
生も過熱したお肉も、できればドライフードなども全然与えないのではなく、ほどよく切り替えてどれも食べられる状態だと、ベターだと思われます。
ちなみに、どうしても基準となる肉の量が知りたい場合は、下記のサイトでシミュレートしてみるのもおすすめです。愛犬の必要カロリー数や、生肉だけ与える場合、トッピングする場合に分けて計算ができるようになっています。
参照:給与量簡単シミュレータ
お肉の量は、きっちりと計算通りではなく、多少大雑把でも、犬が元気で体重が急に増減しなければ大丈夫です。様子をしっかり観察してあげながら、楽しい生肉ライフが送れると良いですね。
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