夏、気温が高いなかでの散歩は、人間もとても大変ですが、犬はどうでしょうか?実は、犬の場合は大変どころか、大きな危険と隣り合わせの過酷な状況なのです。人間のように「熱い」とか「痛い」とか言えないので、気がつくと熱中症や肉球の火傷を起こしている場合もあります。愛犬を守るために、どうしてそのようになるのか、どうすればいいのか、原因と対策と一緒に見ていきましょう!

アスファルトは熱を溜めこみやすい

この危険なほどの「熱」を作り出すのは、アスファルトです。炎天下の下、アスファルトは熱を貯めこみ、その表面温度は60度にまで上ると言われています。これは、人間でもしばらく触れているだけで火傷を起こしてしまう熱さです。近年、都市部で見られるヒートアイランド現象も、このアスファルトが原因のひとつとも言われています。アスファルトが熱を持ちやすい理由は主に二つあります。

理由1:アスファルトの色が黒いため

少し科学的な話になりますが、たとえば同じ大きさ・形で色だけ違うものを炎天下の下置いておいたとすると、その色によって太陽の光や熱に対する働きに差が出ます。顕著な例で言えば、白は太陽光を反射し、黒は太陽光を吸収する性質を持っています。これを踏まえて、アスファルトの色はどうでしょうか?ほとんど黒色ですよね。であれば、炎天下のアスファルトは熱を溜めていき、その温度もどんどん上がってきてしまうのです。

理由2:水分をほとんど含まないため

土の地面の場合は、通常、地中に水分を保有しています。その水分のおかげで、草木も育ちます。またこの水分は、地表で常に少しずつ蒸発しています。この水分が蒸発するときに、地表の熱を奪い、わずかに温度を下げているのです。これとは違い、アスファルトはほとんど水分を含みません。そのため、水分の蒸発による温度低下もなく、ただただ熱が溜まっていく一方なのです。

アスファルトからの反射熱 その熱さはどれくらい?

アスファルトが溜めこんだ熱は、地上へと立ち昇ります。その温度は、アスファルトに近ければ近いほど高くなります。人間は外を歩くとき、立っているので地表から距離があり、また靴を履いているので、地面の熱さを直接感じることはそれほどありません。しかし、もっと低い位置にいる場合はどうでしょうか?これについて、子供の熱中症対策のため、アスファルトの熱を測定・検証したサイトがあるのでご紹介します。

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“子どもは顔の位置が低いので、地面から照り返しの影響を受けやすいと言われています。”

 

“7月8日(月)午後1時から2時、天候は晴れ。
場所は東京都渋谷区にあるセコム本社付近のアスファルト道路上です。
気象庁の発表によると、この日の東京都心の気温は午後1時の時点で34.9℃でした。“

 

“<日なた>
地面の温度:57℃
ベビーカー(人形の頭の位置):50℃
地表から120cmの位置:41℃

上のデータは、午後1時にベビーカーを路上に置いてから15~20分経過後の測定でしたが、驚くほど高い温度が計測されました。
アスファルトの上では、太陽の照り返しも強烈なので、気温も非常に高くなります。

アスファルトに近づくにつれ、温度は高まると予想していましたが、その通り、小学1~2年生の身長を想定した120cmの高さの温度より、地面により近いベビーカー内の温度のほうが高く、その差はおよそ10℃にもなりました。“

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引用 SECOM 子供の安全ブログ
https://www.secom.co.jp/kodomo/p/20130712.html

いかがですか?地表からの高さによって、こんなにも温度に差が出るのですね。ベビーカーの高さは、だいたい1mもないくらいでしょう。しかし、それでもここまで熱いならば、散歩をさせる犬の高さではどうでしょうか?

少なくともそれ以上になることに、間違いありません。私たち人間が気温50度以上のところを散歩するなんて、とても考えられないですよね。おそらく、すぐに体が不調をきたしてしまうことでしょう。炎天下の下、犬にアスファルトの上を歩かせることがどれほど過酷なことか、想像すると怖くなります。

散歩中の熱中症の危険性

熱中症は、もちろん人間だけのものではありません。犬だって、あまりに暑いところに長時間いれば熱中症にかかってしまいます。しかも、犬は人間のように汗をかけないので、体の中に熱を溜めこんでしまいやすいのです。犬は、普段早くて浅い呼吸を繰り返すことで、体温調節をしています。舌を出してハッハッとしているときは、体の熱を放出させているのです。そんな犬が熱中症にかかると、どうなってしまうのでしょうか?

 

※この記事と併せて読むならこちらの関連記事もどうぞ。

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犬が熱中症になるとどうなるの?

まず、呼吸が荒くなり、よだれが垂れるようになります。さらにひどくなると、ぐったりとして、嘔吐や下痢をしたり、目が充血してきたりします。あまりにひどくなると、痙攣を起こしたりや意識不明になったりして、最悪の場合、死に至ることあります。

熱中症になってしまった!対策方法を紹介

犬に熱中症が疑われるときは、すぐに体を冷やしてあげましょう。

  • 体に水をかける
  • 保冷剤や氷をタオルで巻いて、首や関節に当てる(低温やけどを起こさないように注意)
  • 自力で水が飲めそうなら飲ませる(タオルにたっぷりと含ませて、舐めさせることも可)

このような方法で、取り急ぎ体の熱を取ってあげながら、すぐに動物病院へ連れて行きます。見た目には分かりませんが、内臓もダメージを受けている可能性があるので、十分に注意が必要です。

肉球の火傷の危険性

たとえ一瞬触れるだけなら、熱くても火傷にまではならない温度であっても、長時間、あるいは何度も繰り返し触れることにより、低温やけどを起こしてしまうこともあります。炎天下、熱せられたアスファルトでは、犬の肉球が火傷を起こしてしまう可能性が非常に高くなります。もし見た目で分からなくても、次のような様子を見せたら、火傷を起こしているかもしれません。

  • いつもと歩き方が違う
  • 歩くのを嫌がる
  • 脚先を舐めたり、噛んだりする

こうなってしまった場合も、すぐに動物病院へ連れて行ってください。しかし、そもそもそれ以前に対策が絶対に必要です。

どうすればいい?夏場の散歩

危険なのはよく分かったけど、お散歩に連れて行かないのはやっぱり可哀想ですよね。愛犬に外で安心して、思いきり歩きまわってもらうためには、どうすればいいのでしょうか?

散歩を早朝にする

できれば、まだ太陽が昇り始めて間もない時間帯に、散歩へ行きます。かなり早いですがこの時間帯なら、まだアスファルトもそれほど熱くなっていません。逆に気をつけた方がいいのは、夕方から夜です。いくら日が沈んで気温が下がったとしても、アスファルトは熱を溜めこみやすい性質を持っているため、地表の温度は意外とそれほど下がっていない可能性があります。そのため、夕方の散歩もまだ避けた方がいいでしょう。

天然芝生や落ち葉の上を歩かせる

土の上なら、アスファルトほど熱くなっていることはありません。(白っぽくなるほどカラカラに乾いている地面は除く)さらに、天然の芝生の上や、落ち葉が落ちている所なら、なおのこと安心です。アスファルトの上を歩かなくていいように、車などで山や緑の多い公園などに連れて行ってもいいかもしれません。

しかし土の上は、水分の蒸発で湿度も高くなっています。気温がそれほど高くなくても、湿度が高いと熱中症を起こしやすくなるので、注意が必要です。やはり日中の熱い時間帯は、絶対に避けるようにしてください。

靴を履かせる

最近は、お散歩用のドッグブーツがあります。これを履けば、少しは火傷の恐れを軽減させることができるかもしれません。ただし、必ずしも熱を遮断できる訳ではありません。靴の中の温度も、どんどん上がっていきます。

また、防げる可能性があるのは肉球の火傷だけで、熱中症の危険性は変わりません。これを履いたからといって、万能ではないことは意識しておいてください。なお、それでもやはり日中や、まだ地表の熱い夕方のお散歩は絶対にオススメしません。

まとめ

こうして原因と対策を一緒に考えてみましたが、いかがでしたか?夏場の犬のお散歩は、本当に気をつけなければなりません。時間などを調整しつつ、愛犬の体調に細心の注意を払いながら、気持よくお散歩ができるといいですね。


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