花粉症という言葉も一般的によく知られるようになって、はや数十年。

かつてはスギ花粉が花粉症の原因だと言われていましたが、今ではそれだけではなく、イネ科植物やらブタクサやら様々な種類の植物が原因となると知られていますよね。そのため、スギ花粉が舞う春以外でも花粉症に悩まされている人も結構身近にいらっしゃいませんか?

今まで花粉症と診断されたことのない人でも、くしゃみや鼻水が多いと「もしかして花粉症かな?」と心配になりますよね。同じように、ふと気がつけば愛犬もくしゃみをよくしているとしたら、もしかして犬も花粉症になるのかな?なんて、そんな心配も出てきます。

そもそも犬って花粉症になったりするものなんでしょうか?風邪なのかな?見極め方も知りたいですよね。

犬にも花粉症ってあるの?

気が付きにくい犬の花粉症

近年、人間の間では急激に増えてきている花粉症。犬はどうかというと、結論から言えば、犬にもあるんです。

犬にもアレルギーがあることは知っているけれど、花粉症にまでかかるなんて知らなかった!という方もけっこういらっしゃいますよね。そのため、皮膚の炎症など見た目にわかりやすい症状が出て初めて愛犬を動物病院へつれて行ったところ、思いがけず花粉症と診断されたという方も多いようです。診断されるまでの間は、治療を何もしないわけなので、もしかしたら多くのワンちゃんたちはひそかにかなりつらい思いをしているのかもしれません。

人間とはちょっと違う犬の花粉症の症状

また、人間と犬とは出てくる症状の度合いが違うとも言われています。

人間の場合には、鼻水や目のかゆみ、くしゃみが止まらない、だるかったり頭痛があるなどの症状も伴うことがあります。そして犬の場合には、鼻水、くしゃみ、目のかゆみなどは人間同様にあるのですが、人間ほどは症状が顕著には出ません。そのため、くしゃみ鼻水の症状があまり見られないからと放置しておくと、皮膚に炎症がおこり痒みが出る、毛が抜ける、外耳炎になるなど、体全体に影響が及ぶことがあるのです。

犬の花粉症の特徴としては、くしゃみ鼻水よりも、次のような皮膚のアレルギー症状が出やすいということを覚えておくといいですね。

・目の周りの皮膚に赤みが見られる
・お尻を床にこすりつける
・湿疹ができる
・全身を激しく痒がる

犬の花粉症の診断の流れと治療法

原因の特定には血液検査で

まず、愛犬が花粉症ではないかと疑ったなら、動物病院で診察してもらいましょう。まずは症状の緩和のための投薬療法を行いますが、それと同時に血液検査を行うと、アレルゲン(アレルギーを引き起こす原因物質)が花粉なのかどうかを特定できます。結果によっては、花粉症以外のアレルギーの場合もありますので、血液検査によって切り分けを行うのです。

花粉症の治療法

花粉症であることがはっきりわかった場合は、症状が軽ければステロイドや抗生剤など、症状を和らげる薬を処方されますので、指示に従って薬を使いながら様子をみます。

人間の花粉症の場合には、抗ヒスタミン剤の服用をすることが多いですが、犬の場合には皮膚疾患として症状が現れることもあって、まずはアレルギー治療の時のようにステロイドなどで痒みなどの症状の緩和を行います。ステロイドに対しては、使うのが心配だったりネガティブなイメージをお持ちの方も多いかもしれませんが、適切な使用を行えばそれほど心配しなくても大丈夫です。最近では、ステロイドの大量投与や長期使用が身体に与える影響も広く知られていますので、獣医師もきちんとした知識の上に処方をしてくれます。ただ、もしもステロイドの使用に不安が残るようでしたら、かかりつけの獣医さんにきちんと説明をしてもらいましょう。

もしも症状が重ければ、脱感作療法という根治を目指す治療をすすめられる場合もあります。この脱感作療法というのは、花粉症の原因である抗原を少しずつ体内に入れることで慣れさせ、アレルギー症状が出にくい体質へと変化させていく治療法です。人間の場合でも、抗原を皮下や舌下から摂取する治療法がありますが、あれと同じです。

その他にも、フードやシャンプーを質の良い物に替えたり、環境的に花粉対策を行ったり、ストレスを改善してあげることで徐々に改善していくという方法を行う場合もあります。

犬の花粉症日ごろのケアや注意点

人間だってものすごく辛くてしんどい花粉症。犬にとっても楽なものではありません。

花粉症になった場合も、まだなっていない場合も、日頃から気を付けてできるだけ症状が出ないようにしたいですよね。では、日常的にどんなケアを心がければ良いのでしょうか。

室内犬なら家の中では空気清浄機を使おう

空気清浄機を使うと、空気中のアレルゲンが減って人間も犬も大分楽にすごせます。特に愛犬の生活の中で、室内で過ごしている時間が長いのであれば有効です。

犬の散歩の時間帯を考え直す

花粉症の場合、当然ですが花粉の飛び交う屋外を歩けば、抗原である花粉を吸いこみ症状が出てしまいますので、なるべく花粉の少ないタイミングを見計らってお散歩に出かけるようにするといいですよ。

花粉が飛散しやすい時期や時間帯は、原因となる花粉の種類によっても違いますが、スギ花粉の場合には、一般的に季節で言えば春や秋、時間としては夕方~日没後が最も多いと言われています。夕方に飛散する花粉が多い理由は、朝は花粉が舞い上がり、気温の低下に伴って徐々に落ちてくるからだとされています。また都市部であれば、街中にスギは生えていませんが、遠方から風にのった花粉が運ばれてきて、正午付近に到達することも多いのだそうです。

このように、季節や気候、お住まいの地域、時間帯などを考慮したうえで、花粉の最も飛散する時間帯を避けてお散歩に出るのがいいでしょう。また、その日の気象状況によっても、花粉の飛来時間がだいぶ変わりますので、花粉情報サイトなどでこまめにチェックしてあげると良いですね。

犬の散歩から帰ったら花粉を持ち込まない工夫を

人間の場合は外から帰ったら戸外でコートなどを脱ぎ、花粉を落としてから家の中に入りますよね。それと同じように、犬も服を着ているなら戸外で脱がせ、全身を濡れタオルでよく拭き、ブラッシングしてから家に入るようにするといいですよね。家の中に花粉を持ち込まないことで、かなりの花粉カットができます。その時、飼い主さん自身についた花粉も念入りに外ではらってから、家に入るようにしてくださいね。

外出時は犬に服を着せる

犬用のアレルギー対策ウェアなんてものも最近では発売されていますが、そこまでしなくても、できるだけ全身を覆えるような服を着させるのも効果的です。散歩から帰ったら先ほどご紹介したように外で服を脱がせればいいのですが、せっかく脱がせた服を家の中へ持ち込んで広げてしまっては意味がありません。室内へ持ち込む前に、外でビニール袋などに入れ、花粉を舞い散らかさないように洗濯機へうつすか、水に漬けておくなどしましょう。

静電気の発生しにくいウェアを選ぶ

花粉が被毛につきにくいようにウェアを着せるのが有効というのはすでにご紹介しましたが、ウェアの素材にも少し気を使ってみましょう。花粉は、静電気が発生すると衣類に付着しやすくなりますし、払い落しにくくもなります。そこで、なるべく静電気の発生しにくい素材でできたウェアを着させるというのもいいでしょう。

静電気が起こりにくい(帯電しにくい)素材を順番にあげると、

・ナイロン
・ウール
・コットン

となります。

反対に、アクリルやポリエステルは、静電気が起こりやすい素材となりますので、これらの素材は避けてあげるとベターです。静電気防止スプレーや、花粉を払いやすい柔軟剤なども販売されていますので、ウェアのお洗濯の際に少し特別な対応をしてあげるのもいいでしょう。

犬の散歩で草むらに立ち入らない

お散歩コースはどんなところを設定していますか?ワンちゃんは草や自然の香りが好きな子も多いかと思いますが、花粉の飛散時期に限っては、愛犬がブタクサやオオバコが多い草むらに入っていかないように常に目をくばってあげましょう。意外と、道路わきの雑草とか、造成前の荒れ地の中にブタクサが群生している場合があります。もしそんな場所を見つけたなら、お散歩コースを変えてみるのも良いかもしれません。

犬のくしゃみは花粉症?
ブタクサ出典 wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%96%E3%82%BF%E3%82%AF%E3%82%B5
犬のくしゃみって花粉症?
オオバコ 出典 wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AA%E3%82%AA%E3%83%90%E3%82%B3

犬の肌の様子を見ながらシャンプー回数を増やす

シャンプーの回数は平均的に月1~2回が理想とされています。それは犬の肌バリアを守りつつ綺麗さを保つベターな間隔だからです。でも、花粉が多く飛散して花粉症の症状がつらそうであれば、少しだけシャンプーの回数を増やし、保湿剤を使うなどして様子を見るのも一つの方法です。既に皮膚になんらかの症状が出ているのであればひどくなる恐れもあるので、かかりつけの医師とシャンプーの質や回数などを相談しながら、ケアしてあげましょう。

花粉対策グッズを有効活用しよう

花粉対策グッズは様々販売されていますが、人間用にあるものが犬用にも販売されていることがよくあります。例えば、花粉防止スプレーにも犬用があります。また、犬用目薬をさして、目のかゆみを軽減させたり、結膜炎を予防するのも良いでしょう。

ただし、人間用のものをそのまま犬に使用することは避けましょう。人には有効だけど犬には害があるような成分が入っている可能性もあります。しっかり把握して選び、賢く使えると良いですね。

 


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