愛する家族である犬との別れは悲しいものですよね。体の半分を失ったかのような喪失感を感じる方もいらっしゃいますし、中には伴侶との別れよりも辛いと感じていらっしゃる方も。

そんな愛犬とのお別れをした後も一緒に暮らしたい、自分が死んだ後も一緒の墓に入りたい!と考えている方も年々増えているようです。家族であり、子供のような存在であれば、その気持ちもとっても理解できますよね。飼い主も愛犬も、まだどちらも元気なうちからペット可の霊園を探し当て、生前墓を用意する事もあるのです。

では、ペット可の霊園事情って今はどんな風になっているのでしょうか。たくさんできた?それともまだまだ数は少ない?いざという時に親族が困らないようにするためにも、しっかり調べて準備しておきましょうね。

人間の霊園や墓地はペットは不可?

最近はペット可で一緒にお墓に入れる霊園も増えてきました。芸能人で言えば愛犬家として有名なデヴィ夫人も、すでにご自分と愛犬たちが一緒に入れるお墓を購入されたのだとか。

でも、昔っからどこかで聞いた事はありませんか?愛犬と人間は一緒の墓には入れないという噂を。昔から、人間がペットなどのいわゆる「畜生」と呼ばれる人間以外の生き物と一緒にお墓に入る事は忌み嫌われ、禁じられてきたという事情はあります。そんなこともあり、現代でもほとんどの墓地や霊園では、基本的にはペットの埋葬は不可になっているのです。特に、寺が管理している墓地などはその典型的なものです。共同霊園の中にはペットも可とする所が増えてきたという感じなのですが、まだまだその数は少ないようです。

どうしてペットと一緒に入れないお墓が多いのか

一番の理由は宗教的な考え方による

ペットと一緒のお墓に入りたいと希望してもなかなか実現できない事情として、一番よく言われているのが、宗教上の理由です。仏教では、宗派によってペットの死後の世界の解釈が違います。動物は死後もいつまでたってもなかなか極楽に行けず、畜生だけの世界に留まり、人間とは世界が違うのだとするものが大半です。また、キリスト教や神道でも同様で、そもそも人間以外は天界へ行かないのだとか、人間とは一線を隔する存在なのだから葬儀はしないとか、根底にそもそも人間以外の動物は別の存在、あるいは人間よりも一段低い、あるいは悪い存在として考えられてきた経緯から、人間と動物が一緒の墓に埋葬されることは禁ずるとしているようです。禁忌的なものといえばよいでしょうか。

なので、特に寺院や自治体が管理している墓地(日本ではこれがかなりの数を占めますね)では、ペットと一緒の墓には入れないとしていることが多く、仮に「ペット可」としている霊園があったとしても、ペット可の区画と人間が埋葬される区分を分けていたり、人間と一緒に埋葬できたとしてもペットの入らない区分と離れている事が多いのです。

ペット可でも別々の場所に区画される理由

ペット可の霊園があったとしても、区画が分けられているのにはまた別の理由もあります。

現代ではほとんどの人がなんらかのペットを飼っていますが、中にはペット嫌いの人もいます。ペットアレルギーの人もいますよね。そういった人が、自分が将来安眠する隣の区画にペットを入れられると不快に感じるという事で、トラブルなどの問題が起きることを運営側が敬遠しているのです。

また、お墓に入る人一代だけがペットと一緒に眠るならさほど問題ないのですが、一般的には代々守ってきた墓とか、家族で使って行く墓というものを用意するケースが多いですよね。親族から同意を得られないとなかなかペットと一緒に入るのは厳しいという状況もあり、ペット不可のお墓に比べると需要が少なかったのでペット可の墓地が少なかったとも言えそうです。

ペット霊園 vs 家族と一緒の霊園どっちがいい?

金銭的な面で考えると家族と別れた方が墓は作りやすい

ペットと一緒に入れるお墓の相場は、全国平均で140~160万円くらいだと言われています。人間だけの場合はお墓のグレードにもよりますが、50万~180万くらいと言われており、ペット可のお墓に比べると手ごろな価格帯からとなっています。一般的な人間用のお墓は、家族など4人~6人くらいの骨壺を入れるスペースが確保されていますので広さもそこそこあり、こうした価格帯になるのですが、これに対してペット霊園にあるペット専用のお墓の場合、区画も小さく、そこに入るペットの数も少ないでしょうから、高くても4万円くらいまでで作れます。

値段がすべてではありませんが、金銭的にそこまでお墓にお金をかけたくないという場合は、人間用のお墓もペット用のお墓も最低限ですます、という考え方もありだと思います。その場合は、ペット用と家族用の墓は別々の場所に作った方がお得という事になります。

利便性を考えるなら一緒の方が助かる時も

霊園によっては、ペットの区画と人間用の区画が隣り合っていて、同じ敷地内で両方の供養をできる所もありますが、まだまだそういった所は少ないのが現状です。そのため、もしペット用霊園に愛犬を葬り、家族用または一族代々のお墓が別の霊園にあるような場合、こまめに供養をしたい時には両方の場所に行かなければならないという不便さがありますよね。どちらもさほど離れていないのならば良いのですが、供養をする人間もだんだん老いてきます。足腰が悪くなってからの事を考えると、できるだけ供養も一度で済ませたいという考え方もありますよね。お墓の維持管理も、なかなか大変なものです。残された家族の事を考えると、できるだけ一つのお墓ですませたいかもしれません。

永代供養という観点から考えると一緒に入れると嬉しいかも

現代では、人間もですがペットにも合同葬、合同墓があります。霊園で〇周忌の供養などを合同で行ってくれて、管理してくれるという供養です。ペットの場合は、およそ5,000円ほどで永代供養してくれますので、成仏までしっかりお経を読み、見送ってくれるという安心感があります。また、宗派を問わず受け入れてくれてペットと一緒に入れる樹木葬などの人気も高まっています。

合同葬の場合は、特定の個人のお墓を持たないので、お墓の維持管理にかかる残された親族の負担が少ないという利点があります。ただし、ペットと一緒にお墓に入りたい場合は、家族のみで個別埋葬できるタイプの永代供養墓でないと難しいです。合同墓では、まだまだ人間とペットを一緒に埋葬することは可能にはなっていません。ただ、同敷地の別区画でペット用の合同墓区画が設けられている所はあります。

このように、以前とくらべるとペットのお墓事情も選択肢が増えてきました。人間と同じお墓に入ることも可能になってきましたので、自分の望む理想の埋葬のされ方を考えてから調査してみましょう。また、永代供養の樹木葬などでペットと一緒に入れるといっても、ペットの数に制限があったり、ペットを副葬品扱いされてしまう所もありますので、事前によくチェックしておきましょう。

 


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