普段からどれだけ気を付けていたとしても、ちょっとした油断や不幸な偶然が重なって事故は起こり得ます。これはもう誰にでも言える事なので、なんとなく自分だけは関係ないと何も考えないでいると、万が一の事が起こった時にパニックになってしまいます。

飼い主の不注意が原因の事故も依然として多いのですが、普段から目を離さないのはもちろんのこと、実際に交通事故に直面してしまったらまず何をすべきなのでしょうか。

最悪の事態を想定して、あらかじめイメージトレーニングしておいた方が、適切な対応ができて後悔が少なくなると思いますよ。

愛犬が交通事故に!とっさの対応

もしも愛犬が交通事故にあってしまったら!なんて、考えたくないくらい恐ろしい事ですが、それはそれは飼い主さんも慌てる事でしょう。誰でも、家族に等しい愛しい存在が事故に合えば、冷静でいるのは難しいものです。できるだけそんな不幸な目に合わないためにも、普段からリードはしっかり抜けないように気を付ける、散歩時にはしっかりリードをつける、普段から目を離さないようにするなどの飼い主さんの努力は必要です。予防は大前提ですが、それでもどれだけ注意していても、こうした不幸は天災のようにある日突然やってくるかもしれません。では、もしもの時、飼い主さんは何をどうすべきなのでしょうか。一緒に見ていきましょう。

車に轢かれた!まずは安全に注意して退避

もしも車に轢かれたら、まずは飼い主さんと愛犬の安全を優先して、愛犬がこれ以上轢かれないように気を付けながら歩道や道脇まで移動しましょう。そのために、轢いた車の運転手さんに停まってもらうほか、周りの車にも合図を出して停まってもらい、できれば運転手さんや周りの人に手伝ってもらったりしながら速やかに安全な場所へ愛犬を退避させます。

この時、飼い主さんが轢かれてしまっては一番犬を助けられる人がいなくなってしまいます。愛犬のためにも、自分の安全も冷静に確保しつつ、次に犬を守れるようにしましょう。

退避時には噛まれないように注意!

事故時、愛犬も生きる事に必死になっています。突然の出来事にパニックになっていたり、痛みのせいで攻撃的になっている場合もあります。意識もはっきりしていませんし、飼い主が誰かもわかる状態ではないかもしれません。そんな時に、愛犬を安全な場所へ移動させようと犬の体に衝撃を加えるものは、痛みを加えるもの=「すべて敵」とみなして反射的に噛んでしまう事もあります。飼い主さんが手を差し伸べる時も、周りの人間が抱きかかえる時も、できればタオルや衣服で手を包んでから触るなどして、噛まれないように注意しましょう。中には、愛犬を助けた飼い主さんの方が噛み傷で重症なんてこともあるのです。

応急処置を行うなら次の手順で!

犬のための応急処置といっても、人間のようにとりあえず心肺蘇生で心臓マッサージと人工呼吸、というわけにはいきません。というか、交通事故で犬のどこかが折れたり、内臓が破裂している危険がある場合に心臓マッサージをしてもあまり意味がないのです。それよりもなによりも、動物病院へ速やかに運ぶ方が先です。

ただ、ある程度傍にいる人間が応急的に処置できる事もありますので、次の手順を覚えておくと良いです。

1:呼吸の確認

まずは人間同様、呼吸の有無を調べます。耳を近づけても良いですし、手に息がかかるか調べるのでもかまいません。

2:意識の確認

次に、意識があるかどうか、目頭あたりを指でそっとおさえて調べます。瞬きをすれば意識がある証拠です。また、足などをひっぱってみて動きがないのであれば非常に危険な状態です。意識がない場合は、首をそうっと伸ばして気道を確保しておきます。

3:出血の確認

また、出血がある場合は清潔なタオルやガーゼで押さえて止血します。

4:動物病院へ搬送

もし汚物などがあれば取り除き、急いで動物病院へ連絡し、受け入れ態勢を整えてもらっている間にタクシーなどで運びましょう。この時バスタオルや段ボールなどを担架のように使って二人がかりで運ぶと犬の体への負担が少なくなります。移動の間に脈拍も調べておき、病院についたら獣医師に状況を詳しく伝えるようにしましょう。

ひいた車の運転手に対してはどうしたらいいの?

犬をひいてしまった方の車の運転手も、事故を起こしてしまったために気が動転しているかもしれません。優しい人もいれば、厳しい人もいると思いますし、飼い主側も気が動転しているかもしれませんが、冷静に連絡先などを聞いておきましょう。そして110番し、警察に事故状況の確認をしてもらっておきましょう。犬の交通事故は、物損事故の扱いになりますので、請求関係をはっきりさせたいのであれば警察の事故確認は必須です。

どんな状況だったかで治療費などを請求できるかどうか(賠償額)が決まりますので、しっかりと事故の状況確認はしておきたいところですが、愛犬の状態が気になりますよね。そのため、できるだけ家族や友人に協力してもらい、犬を病院へつれていってもらうようにしましょう。そういう万が一の時のためにも、家族や親類、知人などと日ごろから万が一の時の話をしておくといいでしょう。

そのうえで、次のような点はおさえておきましょう。

犬の治療費や慰謝料を請求できるの?

犬を飼われている方にとっては家族同様の愛犬ですが、法律上、事故に合った場合は対物賠償保険の対象となります。つまり、物と同様の扱いという事になってしまいます。加害者が対物賠償保険に入っていれば、そこから状況に応じてお金が支払われる事になるのですが、その時の額は「対物賠償」なので愛犬の時価が基準となります(時価って・・・と思うかもしれませんが)。治療費名目で支払われるわけではありません。あくまでも愛犬の時価に換算した金額が支払われるので、それを治療費に充てることになります。

また、愛犬になんてことにしたんだ!と慰謝料を請求したくなる方もいるでしょう。愛犬の身体に障害やケガ、傷が残ったりしても慰謝料を考えてしまうかもしてません。ところが、犬の交通事故による慰謝料はほぼもらえないと思っていた方が良いでしょう。というのも、愛犬が交通事故にあった場合、ほとんどのケースで飼い主側の過失がいくらかの割合でみられると言われています。

もし、飼い主に100%過失がなかったという状況証拠があるとか、加害者の対応が悪かったために愛犬の治療や事故対応がスムーズにいかず苦痛だったなどの事実があれば、慰謝料が認められる場合もあるようですが、それにあたるかどうかを知りたいのであれば、弁護士とよく相談してみることになります。

飼い主側の過失があれば支払われる賠償は少なくなる

飼い主側の過失というと、事例として多いのがリードをつけずに散歩させていたとか、目を離したすきに家から飛び出たなどの場合になります。こうしたなんらかの飼い主側の過失があれば、保険の適用を受ける時に「過失相殺」されてしまう可能性が高いです。飼い主の管理責任が不十分だったので、事故が起こった。つまり、事故の原因は双方にあるという事で、結局お金はほとんどもらえないどころか、逆に車の修理代金を請求されてしまう事も実際にあります。車を運転していた側からすると、徐行していても目の前に急に飛び出てきた犬を避け切るのは非常に困難です。そういった状況にならないよう、飼い主は常に愛犬に対して目を離さないように、散歩時はしつけがいくらできていようと不慮の出来事がおきないよう、しっかりリードをつけたり歩道の内側を歩かせるなどの対策をとっておきましょう。

犬が交通事故にあいやすいシチュエーションと防止策とは

交通事故にあってしまうまえに、できる事はないか今一度考えてみましょう。事故にあいやすいシチュエーションごとに、防止策をまとめてみました。

散歩中に首輪が抜けた

首輪が抜けやすくなっているなら、まずはハーネスにしたり抜けにくいものに換えましょう。ものすごく首輪抜けがうまくなってしまっているワンちゃんも時折いますよね。普段から愛犬の様子を観察して、首輪が抜けそうになっていないか、金具がはずれそうになっていないかなどをチェックしておきましょう。

リードを着けずにおでかけや抱っこをしていたら何かに驚いて飛び出した

リードを着けずに外へ出る事がそもそも危険です。リードは、愛犬の歩く速度を調節したり、他の人間や犬にとびかからないようにする人間に都合の良い役目だけを持っているわけではありません。愛犬にとって怖い出来事が突然おこったりして逃げだす時などに、事故にあわないようにする、愛犬のためのものでもあるのです。

外国ではしつけが行き届いたワンちゃんがリードなしで散歩している姿もよく見かけますが、それは道路が広く、ワンちゃんにとっても安全なように整備されているとか、車が少ないなど外国ならではの事情があります。日本のようにごくごく狭い道路幅で居住区も狭い所にギュッと固まっているような所では、いくらしつけをきっちりしていたとしてもリードは必要です。きちんとしつけができていたとしても、何かに驚いた愛犬が道路側に飛び出してしまう可能性だってあります。

いつなんどき愛犬にとっての恐ろしい出来事がふりかかるかわからない中、危険から愛犬を守ってあげられるのは飼い主だけです。そのためにも、リードを忘れずにつけるように気を付けたいものですね。

庭に繋いでおいたはずなのにリードがはずれて道路へ飛び出した

リード自体がはずれるとか、伸びるタイプのリードをロックせずに使用していたために車に轢かれたという事例もよくあります。リードも消耗品ですから、長年使っていると劣化します。散歩時もそうですが、庭に繋いでおく時も、道路のどこかに繋いでおく時も、繋ぐ元がしっかりしているかどうかも合わせて確認し、犬だけでははずれないようになっているか確認しておきましょう。

そしてできるだけ目を離さないようにする事が重要です。庭に繋いでいる場合は、道路には簡単に飛び出せないような門にするなど、リード以外の他のハード面での工夫も必要です。

駐車場で飼い主と共に車から出る時に飛び出した

愛犬と共に長距離ドライブなどをして、コンビニに立ち寄ったところ飼い主と共に犬が出てくるのを時々みかけます。この時、リードがついていれば良いのですが、リードなしに犬がすっと出てくるとか、飼い主が抱っこして出てきて、地面の上に愛犬をそっと置くなんて行動も見かけます。この時に運悪く隣に入ってきた車に轢かれるとか、エンジン音に驚いて犬が走り出してしまう場合もあります。絶対に過信せず、クレートに入れて連れ出すか、リードをつけて連れ出すなどしておきましょう。

 


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