玄関のチャイムが鳴ると盛んに吠える。
夜鳴きや要求吠えがひどい。
そういった問題に対するしつけの方法はいろいろあり、「天罰方式」など音を使う方法もあります。

日常にある思いがけない音にひどく怯えることもあるワンちゃん。
「嫌いな音を使ったしつけ」がストレスとなり逆効果、かえって悪影響を及ぼす結果となることも。

音を使ったしつけは大丈夫なの?

しつけ方法には音を使うものもありますが、その音が「嫌いな音」だったとき、ワンちゃんたちは大丈夫なのでしょうか?

犬の聴覚はどのくらい鋭いの?

犬の聴覚は人間のおよそ 4倍という説があります。
正確に何倍であるかは諸説ありますが、少なくとも人間よりも優れているといわれる聴覚をもつワンちゃん。

帰宅したとき、玄関を開けたらもうワンちゃんがお出迎えに来ていた。
お散歩中に、変わった音がするわけでもないのにどこかにジッと耳を澄ませている。
そんなワンちゃんの様子に遭遇したことはありませんか?

犬の聴覚は、獲物となる小動物の高い鳴き声を聞き取り、居場所を素早く見つけるために発達したと考えられており、人間よりも高い音や遠くでした小さな音を聞き取ることができます。

玄関を開ける前からお出迎えの待機をしていたワンちゃんも、お散歩中に耳を澄ませていたワンちゃんも、その聴覚で人間の気づかないような音に敏感に反応していたのですね。

「嫌いな音」を使ったしつけとは?

音を使ったしつけ方法には、何かをする合図としてクリッカーなどの道具を用いるものや、天罰方式と呼ばれる「犬の嫌いな音」を聞かせて驚かせることによって問題行動をやめさせるものがあります。

「犬の嫌いな音」には、掃除機やドライヤーのほか、金属音や雷といった「突然する大きな音」や「高い音」といった特徴があります。

そのため天罰方式と言われる方法では、金属製の容器に硬貨を入れたものなどが利用されます。
ワンちゃんたちの苦手な高い大きな音を、吠えた瞬間などにすかさずさせるというものです。

ワンちゃんから見て吠えるとどこかから突然に嫌いな音がして驚くという状況を作り、またあの音がするのが嫌だから吠えない、という効果を狙っています。

クリッカーなど合図として使える程度の音であれば良いですが、「嫌いな音」を使うしつけとなると、ワンちゃんのストレスなどは大丈夫なのでしょうか?

「嫌いな音」を使うしつけの危険性

「嫌いな音」を使う天罰方式のしつけ方法では、やっているうちに音に慣れてしまって効かなくなったり、そもそもまったく効かなかったというケースもあります。
そのほかの失敗したケースには、深刻な危険性を持つ例がありました。

飼い主さんに対する不信感、警戒心を持つようになった

「嫌いな音」を使ってしつけをする天罰方式に関して懸念されるデメリットのひとつに、飼い主さんとワンちゃんとの信頼関係への悪影響があります。

”音による天罰方式に変えたところ、これはてき面に効果あり”
”私は天罰のつもりでも、パピーは私が袋を投げているのがバレバレ”
”私自身を警戒するようになりました”

失敗パターンのひとつとして、このように「吠えると嫌な音がする」ではなく「吠えると飼い主さんが嫌な音をさせる」とバレてしまい、飼い主さんに対してワンちゃんが警戒するようになってしまうものがあります。

音に過敏になり、小さな音でも怖がるようになる

より深刻な問題は、ワンちゃんに音に対しての恐怖を植え付けてしまうリスクでしょう。

来客などに対する威嚇・警戒・攻撃の意図で吠えている場合に、嫌いな音で驚かせることによってワンちゃんが怖がってさらにひどく吠えてしまう。
こういったことをキッカケに、直そうとした問題行動が悪化する恐れもあります。

また、音に対して過剰反応し小さな音にも神経質に怯えたりするようになってしまう危険性もあります。

”散歩中にシャッターが突然開き、パニックを起こして”
”近所は商店街やシャッター付きの家がたくさんあり、一度、シャッターの音を聞いた道は行けなくなり”
”その道の方に行こうとするだけで、ブルブル振るえ、悲鳴まで”

シャッターの音に驚いたことが完全にトラウマになってしまった状態ですね。
聴覚が鋭いだけに突然開いたシャッターの音によって感じた恐怖も大きかったのでしょう。

「嫌いな音」を用いる天罰方式によるしつけでも、感じた恐怖やストレスの度合いにより「しつけ」でしたことの結果が恐怖を植え付けただけとなる危険性は否定できません。

敏感な聴覚を持つワンちゃんにとって、音を使った天罰方式のしつけ方法は成功すれば即効性が見込めるものの、失敗したときのリスクが深刻であることから利用をためらう飼い主さんも多いようです。

 

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「嫌いな音」を使わないしつけ方法

無駄吠えなどの問題行動を直す方法として用いられる天罰方式。

飼い主さんとの信頼関係への影響やワンちゃんのストレス、その後の音に過敏になることへの心配などから、この方法を使わないまたはやめたという飼い主さんたちは、ほかにどのような方法でしつけをしているのでしょうか?

フォーマットトレーニング

食事や散歩・遊びといった日頃の行動の前に、必ず待てなどの指示を出すフォーマットトレーニングと呼ばれるものがあります。
何かをするときに、必ず一度ワンちゃんを「ゼロ」の状態にする、ということですね。

普段からこういったトレーニングをして習慣づけておき、いざ吠えてしまったときに待てなどの指示を出して「ゼロ」の状態にして吠えるのをやめさせる、ということができます。

吠えることの全般を制御する

段階を踏んで「吠えるのをやめる」という指示が分かるようにする方法もありました。

  1. 「吠えろ」という指示を出し「吠えたくなる音」をさせるなどして確実に吠えさせる
  2. 吠えたらオヤツなど鼻先に出して匂いをかがせる
  3. 吠えるのがやんだ(匂いを嗅ぎ始めた)時点で鼻先に出したオヤツなどを与える

これを繰り返して、まずは「飼い主さんの指示で吠える」ことを教えます。
確実にできるようになったら、「飼い主さんの指示で吠えるのをやめる」ことを教えます。

飼い主さんの指示で吠えることを教えた 3つの手順のうち、2の匂いをかがせるときに「静かに」などの号令をかけて「静かに」と言われたら「吠えるのをやめる」ということを繰り返して教えます。

確かに単純な禁止では「ダメって何が?」となってしまっているワンちゃんなど、効果が見込めそうですね。

「吠える代わりにすること」を教える

”「しーっ」と言ったら口を閉じると言うことを教えられれば、吠えることはできなくなります”
”この通りにやった所、まだ1日しか経っていないのにかなりの効果がありました!!”
”吠えるときも、今は少し遠慮しがちに小声?で吠えたりしています”

引用元: 「OKWAVE」

吠えているワンちゃんに対して、「吠えるのをやめなさい」ではなく「別のことをしなさい」と教える方法でした。

具体的には、吠えたら「しーっ」と声をかけながらワンちゃんの下あごに手を当て上向かせるようにやさしく口を閉じてあげます。
これで吠えやんだところで、褒めてごほうびをあげる、とのこと。

1日やってみた段階で小声で吠えるようになったということは、ワンちゃんの方でも「あれ?吠えちゃいけないのかな?」と思ったりしているんでしょうね。

 

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「嫌いな音」を使うか、別の選択肢か

 

問題行動を直すしつけで利用される「嫌いな音」を使ったしつけ方法は、成功する場合もあれば失敗もあります。
そして失敗したときのリスクが大きな方法でもあります。

人間から見て「問題行動」とされることにもワンちゃんなりの理由はあり、まずはその理由を理解し、見合った対処を考える必要があります。

そのうえで「嫌いな音」を使うしつけを選ぶ場合には、その方法を使ったときのワンちゃんの反応によく注意し、必要に応じて早い段階で別の方法に切り替えるなど考えてあげたいですね。

 

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