皆さんは、ワンちゃんをいつものようにブラッシングしたら白い粉が大量に出てきた…。という経験はありませんか?その白い粉は「フケ」かもしれません。

一般的に健康なワンちゃんの皮膚は目に見えるほどのフケは出ませんので、大量のフケが出たという事は何かしらの異常が起こっていると思われます。今回は「フケ」が出る原因とその対処法についてご紹介したいと思います。

犬にもフケって出るの?

人間と同様に犬もフケが出ます。フケというのは、簡単に言うと表皮(角質層)の新陳代謝で発生する細胞の一部です。「表皮」とは犬の皮膚の一番外側の事で、犬の表皮は全身に毛が生えていることから、その厚さは人間と比べ5分の1から3分の1(0.04mm〜0.07mm)ほどしかありません。その表皮には多くの細胞が並んでおり、表面の細胞は時間経過により老化していきます。そうすると、表面の下から新しい細胞が出てきて老化した表面の細胞が角質となって皮膚から剥がれ、新しい表皮に代わります。この一連の活動を「ターンオーバー」と言い、剥がれた落ちた細胞が「フケ」なんですね。

犬にフケが出る原因

飼い主さんにもよりますが、ワンちゃんを毎日シャンプーするという方は少ないと思います。人間だったら1日シャンプーをしないだけでも痒くなったり、なんとなくフケっぽくなる人もいますが、毎日はシャンプーしないワンちゃんは目に見えるほどのフケは中々出ませんよね。

一般的に犬のターンオーバーは約20〜25日周期で発生します。人間は約28日周期ですから、人間よりも若干早めです。ですから、ワンちゃんは普通に生活していてもこの周期でフケは出る訳ですが、普通に出るフケはかなり細かいものであるため、目に見えないのです。

では、目に見えるほどのフケが出る時ってどんな時なのでしょう?答えはズバリ、「ターンオーバーの乱れ」が原因なのです。ターンオーバーを乱す要因とはどのようなものなのか?その要因についてご説明していきます。

細菌・真菌感染によるフケ(皮膚糸状菌症)

まず考えられる原因としてあげられるものが細菌や真菌の感染によるターンオーバーの乱れです。最も多いのがカビの一種である皮膚糸状菌症と言われています。皮膚の一点から菌が感染し、感染部位は丸形に広がっていくのが特徴です。感染するとワンちゃんの皮膚細胞はその菌を追い出そうとして活発な活動を始めます。その結果ターンオーバーが乱れ、周期が通常よりも早くなり、フケが出るという訳です。

また、細菌や真菌の感染によるターンオーバーの乱れはフケの発生だけでなく脱毛も起こります。菌は感染した場所から円形に広がって行きますので、もしこのような症状を発見した際はすぐに動物病院へワンちゃんを連れて行きましょう。

寄生虫によるフケ(ツメダニ症)

寄生虫による感染も、フケの大きな原因のひとつとされています。感染する寄生虫によって痒みが出たり出なかったり、フケが出たり出なかったりしますが、最もフケと関係が大きいのはツメダニ症と言われています。

ツメダニは表皮に常駐し、皮膚に炎症を起こしてターンオーバーを無理に促進させる事で出る大量のフケを自身のエサとするため、駆除しなければ永続的にエサを確保する活動を続ける訳ですね。ツメダニ症を放置すると皮膚炎がひどくなり、痒みと大量のフケが発生し、その症状が重度になるとワンちゃんはストレスから食欲不振に陥ったり、発育不良を起こしたりする事があると言われています。

また、ツメダニ症は人間にも感染します。飼い主さんやそのご家族、特に小さなお子様がいるご家庭は充分な注意が必要です。

アトピー性皮膚炎・アレルギー性皮膚炎によるフケ

アトピー性皮膚炎やアレルギー性の皮膚炎などの皮膚病を患っているワンちゃんは、皮膚の水分を保持する機能が他のワンちゃんと比べて劣っているため、水分が皮膚から逃げやすくなり、肌がカサカサになることで強い痒みとフケが出ます。痒くなった患部を掻くと皮膚が傷付いて水分が抜けるだけでなく、傷付いたところから細菌やアレルゲン(アレルギーの原因となる物質)が入ってさらに痒みが増す、という悪循環に陥ってしまいます。

アトピーやアレルギーが関係した皮膚病の場合、単なるフケが出るという状態を放置してしまうと、炎症が慢性炎症に発展し、一度ダメージを負った皮膚は完全に回復しない部分もあるため、同じような症状が再発するまでの期間が短くなる可能性もありますので注意が必要です。また、アトピーやアレルギー性の皮膚炎はストレスの大きい病気ですので、ワンちゃんのストレスを減らすためにも一早く対応する事が大事ですね。

フケを防ぐ方法

ターンオーバーの乱れによるフケの発生原因についてご説明しました。どれもワンちゃんにとって重大な問題ですよね。では、そのフケを防ぐためには何をしたら良いのでしょうか。どういったケアをすれば良いのか、フケが出てしまった場合はどのような対処をすれば良いのかをご紹介したいと思います。

冒頭でもお伝えした通り、ターンオーバーの周期とは異なるフケの発生は皮膚病やストレスなどの警告サインです。ぜひ参考にして、大事な家族の一員であるワンちゃんに快適な生活を送ってもらいましょう。

その1:シャンプーの見直し

まず大事なのがシャンプーです。シャンプーのすすぎ残しやシャンプー後の乾かし方が甘かったり、多量のシャンプーを使ったりする事で、必要以上に油分が残ってしまうなどが挙げられます。これが原因でカビなどの菌が表皮に発生してターンオーバーの乱れによるフケが出る訳です。

ですので、飼い主の皆さんには以下の予防対策を行いましょう。

・ シャンプー後は念入りにすすぎを行い、生乾きにならないようにしっかり乾かす
・ シャンプーは夏場であれば月に2回、冬場は月に1回行う
・ シャンプーする時のシャワーの温度は37〜38度が良い

また、現在お使いのシャンプーの成分がワンちゃんの皮膚に合っていない場合もあります。

犬用のシャンプーは人間が使うものと違い成分表示の義務がないため、市販されているものは何が入っているか分からないというのが現状です。ですので、使用するシャンプーは犬用の低刺激で保湿効果のあるものを選びましょう。動物病院には殺菌や保湿効果のあるシャンプーを取り扱っているところもありますので、気になる方はお近くの病院でも探してみてください。

その2:ブラッシング

次にブラッシングに注目しましょう。日々のブラッシングは被毛を清潔に保つ事が出来ますし、適度に皮膚を刺激し血流をよくする効果があります。また、菌が付着したホコリやダニなどの寄生虫をワンちゃんの体から離すという予防ができます。何より、ワンちゃんにとってブラッシングはとても気持ちのいいものですからストレスの軽減に繋がります。ワンちゃんとの大事なコミュニケーションの一環として、以下の事を心がけて行いましょう。

・ ブラッシングは1日1回行う
・ ブラッシングするタイミングは散歩の後、もしくはシャンプー前に行うのが良い
・ 犬種や毛の状態に応じて使用するブラシを選ぶ
・ 力を入れ過ぎてブラッシングしない

なお、同じブラシを使って複数のワンちゃんにブラッシングをしてしまうと、ダニや菌を移してしまうという危険もありますので、多頭飼いしている飼い主の方は充分に注意してください。

その3:食事の改善

シャンプーやブラッシングのケアを行っていてもフケが出る…、という場合はワンちゃんの食事に原因があるかもしれません。

人間と同じように、偏った食生活はワンちゃんの体に負担をかけます。栄養価の高いものを用意したり、栄養補助食品をあげたりする事でワンちゃんの健康へ直結します。具体的にどのようなものが良いのか分からない場合は、動物病院などで相談するのが良いでしょう。

それでもフケが出てしまった時は

フケは周期的に発生するものとそうでないものがあります。普段から色々と予防対策を行ったにも関わらずワンちゃんのフケが減らない、目に見えるほどのフケが出ているという場合、まずワンちゃんの皮膚の状況を確認してみてください。赤く炎症していたり円形の脱毛がみられたりする場合は、皮膚疾患の可能性が高いです。すぐに動物病院へワンちゃんを連れていってあげてください。

ターンオーバーの乱れによるフケの発生は痒みや痛みを伴うものです。ワンちゃんにとっても大変ストレスが溜まる状況にあると思いますので、ワンちゃんからの警告サインを見落とさないように日々のケアを行っていただければと思います。


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