犬を抱っこした時に感じるなんとも言えない犬独特の個性的な香り。いつもと同じなら良いのですが、鼻にツンといつもと違う臭いを感じたら要注意です!犬の耳が臭いということは、なんらかのトラブルをかかえている可能性があるからです。

ではどんなトラブルが考えられるのか。はたまたその対処法や予防法はあるのかないのか。

消臭スプレーを探すなんて不要なことはせず、しっかり愛犬の体調や気持ちに向き合ってあげてくださいね。

犬の耳が臭う?どうしてなの?

体臭がきつくなっているのかも

脂分の多いドッグフードを食べると体臭がきつくなることがあるようです。人間でも欧米の方々は肉をよく食べるので体臭がきつくなりがちで、日本人も最近欧米食になるにつれて徐々に体臭がきつくなりつつあるなんて言われています。犬も同じようなものなのかもしれませんね。

ともあれ、耳垢が増えてくることもありますし、丁寧なケアが必要です。特に耳が長くたれている犬種は耳の病気にかかりやすいともいわれています。蒸れやすいので、1~2週間に一度は耳掃除をしてあげると良いです。それと同時に、ドッグフードも見直してみるのも一つの方法です。ちなみに耳垢は、健康な犬の場合は白っぽい黄色でほぼ無臭です。

耳が臭いやすい犬種

体臭にも関係してきますが、一般的に臭いが強い犬種というものが存在します。他の犬種よりも、皮脂の分泌量が多めだったり、耳が長いとかしわが多い、汗腺から分泌される物質が臭いやすい、被毛が長いなどの種が該当します。具体的にはつぎのような犬種だと言われています。

・パグ
・ブルドッグ
・シーズー
・ビーグル
・ヨークシャテリア
・コーギー
・ポメラニアン
・レトリバー系
・ミニチュアダックス

とはいえ、普段のお手入れを適切に行っていればそれほど悪臭がするというわけではありません。もし全身からなんとなく強い臭さを感じるなら、お風呂に入る頻度が少ないとか、高温多湿の環境で汗ばんでいるせいとか、肛門絞り不足、部屋自体に匂いが染み付いている、いつも使っているおもちゃが臭っている、寝床周りが臭っている、風呂に入れる頻度が多すぎて皮脂が過剰に分泌しているなどの原因も考えられます。(参考『犬が臭い!臭いの元をきちんとケア・病気が潜んでいることも』)もしも、耳だけが特に臭いが強いのであれば、それは他の原因かもしれません。

耳の病気で臭いのかも

耳は犬の健康を診るのにも役立つと言います。耳の状態が悪いのは、体の免疫機能が衰えていることが要因の一つであるかもしれないからです。耳の臭いだけが強く感じる場合、その多くは病気が原因の場合だと言われています。耳の病気には次のようなものがあります。

耳の臭いで疑う病気①外耳炎

耳に臭いがあるといった場合に多いのは外耳炎ですが、主に細菌性のものと、寄生虫によるものとがあります。

細菌性のものはマラセチアとも言いますが、犬の常在菌である真菌やカビ(酵母菌)が体力が落ちている時や湿度の多い暑い環境の中で繁殖してしまい、炎症を起こしてしまうというものです。耳垢が茶褐色や黒色になり、酸っぱいような臭いをしていることもあります。特にたれ耳の犬種にはよく起こりがちな外耳炎です。

寄生虫によるものは、耳疥癬(ミミカイセン)とか、耳ダニともいいます。特に山や草むらに行った覚えがないとしても、街中のお散歩で出会った犬からもらってきてしまう事もよくあります。外耳道に寄生する犬や猫独特のダニで、皮膚をかじるため、大量の黒っぽい耳垢が出ます。また、犬がとても痒がるようなしぐさがしばしば見られます。

耳の臭いで疑う病気②耳血腫

出典 オークどうぶつ病院 http://www.oak-animal.com/2940

外耳炎がもとで起こる場合が多いのですが、耳のうすいひらひらした部分の皮膚と軟骨との間に血が溜まって血種ができてしまう、犬によくみられる症状です。赤くなったりぶわっと腫れあがったりしていることもありますので、もしも犬が耳を気にしているようなそぶりがあれば、よく見て犬が掻いてしまわないようにすぐに対処をする必要があります。

耳の臭いで疑う病気③アレルギー

アレルギーの症状の場合は、耳だけでなく全身の皮膚のどこかにも同じような症状が出ているかもしれません。お腹やワキ、内またなどがべたつく、赤くなるなどの状況が見られれば、それはアレルギーや皮膚炎が関係している病気の可能性が高いです。

耳の臭いで疑う病気④異物

いわゆるオデキですが、耳になにかしらオデキができてしまうと痒くなり、ひっかくことで悪化してしまうことがあります。そこから血がにじんだり、体液が出ることにより臭くなります。できるだけ早めに病院に連れて行き、適切な処置を行ってもらいましょう。

犬の耳掃除の方法と頻度

犬の耳が臭くなるのを防ぐためにも、病気の予防のためにも耳掃除は有効です。でも、人間の耳でさえ、他人の耳を触るのって怖いですよね。中はよく見えませんしね。しかも、本来は耳の中の垢を取るのは人間においても医療行為なのだそう。つまり、あまり素人がつつくものではないのです。ということは、綿棒で中までつつくのは明らかにやりすぎ、という事になってしまいますよね。耳の入り口付近だけを丁寧に拭っておけば、耳垢というものは自然に外へ押し出されていく仕組みになっているのだそうです。犬の場合も同じです。

とはいっても、犬は犬種によって大きさも毛の生え方も違います。どのくらいの頻度で、どこに気を付けて掃除をすればよいのでしょうか。

基本的な耳掃除の手順

耳掃除といっても、人間のように耳かきでゴシゴシ擦ったのでは傷がついてしまいます。では綿棒は?というと、獣医師さんによっては、綿棒による耳掃除はあまりおすすめできないとおっしゃっている方も多いです。というのも、やはり綿棒だと細長くてある程度の硬さがあるため、耳の中につっこみすぎて垢を耳の奥へ押し入れてしまう恐れもありますし、傷を作ってしまう原因にもなりかねないからです。傷ができれば、常在菌に対する免疫も下がってしまって外耳炎にもなりやすくなってしまいます。せっかく耳をきれいにして健康な状態を保とうと思ったのに、かえって悪化させてしまうということもあると言えますよね

そこで誰でも簡単かつ安全にできる方法として、イヤークリーナーを使ってマッサージをするというものがあります。手順は次のとおり。

1.市販されているイヤークリーナー(病院処方のものでも可)を買ってきて、耳の中に少量垂らす
2.耳の付け根をくしゃくしゃっと撫でるようにマッサージし、犬が頭を振るまでまつ
3.頭をふってくれたら、耳垢が出てきますのでガーゼや綿でそっとふき取ります

たったのこれだけです。耳掃除に使うイヤークリーナーは、ペット専用に配合された洗浄液です。これを耳に垂らすのは良いのですが、間違っても水道水など水を入れるのはやめておきましょう。かえって雑菌の繁殖を促してしまいます。中には手作りの洗浄液で行う方もいらっしゃいますが、さほど高くないので1本購入しておくとペット、飼い主双方に安心かつ安全です。


参考価格:1998円

ちょっぴり上級者向け耳掃除の手順

他の犬たちに比べて、たれ耳の犬種や耳の中に毛が生えている犬種の場合はもうひと手間かけてあげるとベターです。例えばシーズー、トイプードルといった犬たちです。被毛も長く、絡まりやすいような犬の耳毛は、あらかじめ少し抜いておくと良いそうです。トリミングサロンでも、耳の中の毛を抜いている場合が多いってご存知でした?

ただし、あまり頻繁に嫌がるものをむりやり毛を引っこ抜いていたら、逆に傷の原因にもなりかねませんので、難しそうならトリマーさんに任せると良いでしょう。ご自宅でも、鉗子を使ったり、指でつまんだりして抜いていくことは可能です。次の動画を参考にして掃除してみましょう。

耳の大きさによっては、耳の中に指が入りにくい場合もあるかもしれません。ですが耳の入り口付近を指でマッサージしてやるだけでもずいぶんちがいます。衛生的な状態を保つためにも、耳の掃除と共に異臭がしないか、しっかりチェックして体調管理してあげるようにしてくださいね。

犬の耳掃除の頻度

人間だったら、なんとなくむずがゆくなった時とかにすればよいのですが、ワンちゃんは話すことができません。人によっては毎日行う人もまったくしないという人もいらっしゃると思いますが、犬の場合はさほど頻繁に行わなくても大丈夫です。

健康チェックも兼ねて掃除してあげたいところですが、頻度は耳の構造と毛の有無で異なります。たれ耳の犬種は、やはり外耳炎のリスクがたれ耳ではない犬よりも高くなっていますので、少なくとも2週間に1度は掃除してあげると良いと言われています。耳の中に毛が多く生えている犬も同様です。その他の犬は、1か月に1度くらいでかまわないとされていますので、時々おもいついた時とかでもかまわないでしょう。

毎日やりすぎるのもよくありませんので、適度に間をあけてマッサージしてあげてください。

病気・傷がある場合は専門家に任せる

犬がを気にする様子もなく、特に耳が臭いなどの症状がない健康な犬に、飼い主さんがイヤークリーナーを使って掃除する分には前述した頻度でおこなってあげたら良いのですが、もしも既に異臭が耳から漂ってきている場合は、動物病院で診察してもらってください。

素人が下手に耳を触ってしまうと、既にできている傷を広げてしまったり、悪化させる可能性があります。病院で傷の有無や腫れがないか診てもらい、耳ダニだった場合なら専用の薬によるケアが必要です。そうしないと、いつまでたっても治らないどころか、他の犬にも感染させてしまう恐れがあります。

そして必ず、耳のケアの仕方と掃除の仕方、頻度など、愛犬について良く知っているかかりつけ医に教えてもらっておきましょう。犬によって合う方法というものもあります。同時に、自分で耳掃除をしても良いのか、医師に任せる方が良いのかも聞いておきましょうね。耳の奥でできものができているような場合は、素人が下手につつかない方が良いこともあります。ちょっとでも不安に思ったなら、専門家のアドバイスを聞いておくと安心です。

 


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