いまどき、「もらってください」なんて書かれた段ボール箱に子犬が捨てられて・・なんて光景はまったく目にしなくなりましたが、昭和の頃にはそうした話もよく聞かれました。さすがにそれはないにしても、今でもたまにノーリードでウロウロしていて飼い主らしき人が付近に見当たらない犬は、稀に見かけることもあります。
もし、今あなたが捨て犬かな?と思うような犬に出会ったら、どうしますか?
見て見ぬふり?それとも保護?警察に通報?・・・かなり迷いますよね。どんなことをすれば良いのか、あるいは引き取れる場合、引き取れない場合に何をしてあげるのがベターなのか、考えてみましょう。
毎年○○頭の犬が保護されている
保護犬って元は捨て犬・・・?
最近は、捨て猫も捨て犬もめっきり減って、日ごろそうした犬猫をそうそう頻繁には見かけなくなりました。昔の漫画やアニメでは当たり前のように段ボール箱に数頭入れられた子犬が、そのへんの道端や何かの施設前に捨て置かれている場面も描かれていましたが、今ではそういったシーンもほぼ見られなくなっています。実際には眼にしていないとはいえ、よく「保護犬」という言葉は耳にしますよね。保護犬って元は捨て犬や飼い主が飼えなくなった犬のことのような気がします。ということは、実際には捨て犬もいるのでしょうか・・・そこのところはどうなのでしょう。
年間4万頭以上の犬が保護されている
環境省の統計資料によると、犬の引き取りは平成28年度の合計で41,175件となっています。これは、飼い主からなんらかの事情によって預かったものも含めての数ですが、そのうち所有者不明で保護された成犬は36,512件となっています。平成16年には、なんと18万頭以上の引き取り数があったのですから、それに比べれば4分の1程度の数にはなっています。それでも直近でこれだけの引き取り犬がいるということなのでかなり多いですよね。
実際には、不幸にして保護されずに死んでしまった犬とか、把握しきれていない数もあると思いますので、それらは環境省の統計に含まれていません。それらも含めると、実際には相当な数の犬たちが何らかの事情で保護されています。これだけの数がいるなら、もしかしたら、あなたの身の回りにも今現在困っているワンちゃんがウロウロしているかもしれません。いつか近い将来、捨て犬を見かけたとしても不思議ではないですよね。
もしかして捨て犬・・・?その時どうしたか
SNSや掲示板などから、いざみなさんが迷子犬などに遭遇したときに参考にできそうな例を集めてみました。実際に捨て犬を発見した人たちは、何をどうしてあげたのでしょうか。
保護して関係各所に連絡の上引き取った
6年前位に隣の県に遊びに行ったとき、山の今年はもう閉園したキャンプ場でキャバリアを拾いました。
夜に台風が来る予報があったので連れて帰りました。
とりあえず、その日はゲージに入れて玄関で過ごさせました。
翌日、拾った場所の近くの警察と保健所に保護してることをれんらくしました。
更に翌日、動物病院へ連れて行って診てもらいました。
耳にカビが繁殖してて、目が炎症してて、ダニもいて、フィラリアでした。治療に1年かかりました。
推定年齢は当時4~6歳。あれから6年。
誰からも連絡来ません。一昨年、子宮蓄膿症の危機を乗り越えて、今でも我が家でのんびり暮らしてます。おばあちゃんになったけど、相変わらず元気だ!
引用:わんちゃんホンポ 捨て犬を見つけたら・・・あなたはどうしますか? https://wanchan.jp/osusume/detail/1849
このワンちゃんの場合、見つけた方が犬に関して知識があったのでしょう。しっかりと保健所と警察へ連絡し、飼い主が名乗り出ることを待ちながら病気がないか、動物病院へ連れて行っています。もとからあった病気なのか、キャンプ場ですごすうちに発症したのかはわかりませんが、新しい飼い主のおかげで犬も病気を治し、楽しい犬生を送っているのだと思います。
6年も名乗り出る人がないところを見ると、なんらかの不幸な事故なのか故意なのかはわかりませんが、今となっては新しい飼い主さんの家族となりました。しっかり責任をもって飼えるなら、愛犬家の気持ちとしてはこの方のように引き取ってあげたいと思う人も多いでしょう。
一旦保護して対策を掲示板で聞いて検討し預かり先を見つけた
次に紹介するのは、見つけたワンコを保護しながら、対策を模索して最後にあずかり先を見つけたという方の例です。掲示板での書き込みを時系列に抜き出してご紹介しています。
家には雑種のワンコが2匹います。(7ヶ月、8ヶ月♂)今日の夜散歩でいつもの公園に来たら、1匹のワンコ(多分シーズー)がノーリードで座っていました。迷子かと思ったのですが、全く手入れされておらず、毛玉ができ、お尻にはウンチも付いている状態で、近くには水入れがおいてありました。両目とも白内障で見えていない様子です。状況から考えると捨てられてしまったように思えます。。
放ってはおけず、家に連れてきて保護していますが、私は旦那との二人暮しで共働きです。元気でやんちゃな暴れん坊の2匹のワンコがいます。留守番時間も長い為、現実的に考えて今後3匹飼っていくのは難しいと思います。引用:dogoo.com 犬のQ&A集 https://www.dogoo.com/toukou/dogqa/faq_log/9067002.htm
保健所に連絡してみましたが、GW中で職員がいない為、警察に保護してもらったほうがいいと言われました。
最寄の交番に行ってみましたが、今のところ届けは出ていないようです。保護することはできても、届出がない場合は保健所行きになってしまうとのことで、とりあえず家で保護しておくことになりました。
これから、保護団体に連絡等してみようと思います。引用:dogoo.com 犬のQ&A集 https://www.dogoo.com/toukou/dogqa/faq_log/9067002.htm
うちの2匹は里親募集をしていたワンコでした。
なので、うちのワンを一時預かりして頂いてた方に相談し、飼い主さんをさがして頂くことになりました☆
(中略)
老犬になるまで、飼った飼い主さんがあんなにかわいいおりこうなワンコをすてるなんて未だに考えられません。
私にはたいしたことはできませんでしたが、今後この子を最後まで可愛がってくれる飼い主さんが見つかることを心から祈ってます。引用:dogoo.com 犬のQ&A集 https://www.dogoo.com/toukou/dogqa/faq_log/9067002.htm
保護した場所の周囲に聞き込みをして飼い主を探した
昔、職場の前の道路でびしょ濡れのプードル(少し大きめ)を保護したことがあります。首輪もなかったので、一晩うちで預かり、翌日保護した周辺の家や店を聞いて歩きました。幸いにして無事お家へ返せましたが、見つからなかったら警察に届けていたと思います。
引用:わんちゃんホンポ 捨て犬を見つけたら・・・あなたはどうしますか? https://wanchan.jp/osusume/detail/1849
散歩の途中で逃げたのか、なんらかのアクシデントがあって家に戻れなくなったのかわかりませんが、このワンちゃんの場合は近場で飼い主が分かって良かったですよね。
見つけた人も、家で預かってあげようかなと思っても、もしかして色んな病気を持っているかもと思うと躊躇することもあると思います。また、迷子になってパニックになったり警戒心がMAXになっている犬を捕まえることは難しいこともあります。それでもとりあえずケージなどがあれば預かることは比較的簡単にできるかもしれませんが、なかなかここまで丁寧に聞いて回ることができる人は少ないかもしれません。
必ずではありませんが、運よく近場でおうちが見つかるような場合もあるんですね。試してみる価値ありそうです。
保護したものの家族の同意を得られず預かり先を探した
今朝、道路をさまよっていて、このままだと車にはねられそうだったので、家で保護しています。
前足から血が出ていたので、病院に連れていき注射等の処置をして頂きました。
毛も所々はげていて、とても臭く、首輪もしていませんでした。
捨てられたのか、首輪が外れて逃げてしまったのか…でも状態から見ると、捨てられたのかなぁと思います…
保護したので、最後まで責任をもって何とかしてあげたいと思っていますが、父がうるさく、すんなりと飼える雰囲気ではありません。
引用:YAHOO!知恵袋 https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1085910690
保健所にも飼い主から連絡は無いみたいです。
父が激怒し、家には置いておくことができなくなったので、獣医さんのご厚意で預かって頂いています。
里親になってくれるかも…な方から、今日連絡がくるはずですので、その方とも話してみたいと思います。
引用:YAHOO!知恵袋 https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1085910690
保護した方は責任をもって飼ってあげたいと思ったとしても、ペットが家族の一員になるからには家族全員の意見も大事ですよね。なんといっても、犬1頭飼うとそれなりにお金も労力もかかります。保護犬の場合、その多くはなんらかの病気を発症していることも多いので、治療もしなくてはならなかったり、その治療期間も長引いたりすることもあります。このように、色んなことを考え併せて、本当に自分が引き取れるのかどうかは慎重に考えなくてはなりません。
このワンちゃんは保護した方の預かり先を探す努力のおかげで保健所で殺処分されることからは免れそうですし、怪我も診てもらえて良かったと思います。
捨て犬を発見したら
ボクは捨て犬なの!とはっきり主張してくれている犬ならわかりやすいのですが、さすがに人語を話せない犬には不可能ですよね。そこで、捨て犬を発見したら次のような手順でできることをしてあげたら良いと思います。
Step1.その犬の状況をよく確認する
体調が悪そうかどうか、人に懐いていそうかどうか、首輪や名札はあるか、リードはしているか、周りに飼い主らしい人がいないかどうか。それらを慎重に見極めて、同時に自分の家で一時預かりできそうかどうかを検討します。
いくら預かりたくても、リードもケージもない状態での保護は難しいです。それに、いきなり部屋にあげてフリーにするのも衛生的にちょっとまずいと思いますし、犬も不安を増してしまいます。
Step2.警察へ連絡する
捨て犬かも?と思う犬を見つけた段階では、捨て犬なのかアクシデントによる迷子なのかの判別はつかないと思います。なので、まずは飼い主がいつ名乗り出ても見つかりやすいように、警察へ届け出をしておきます。日本では、犬は物としての扱いになりますので、拾い物をした時と同じです。
もし、Step1の段階で人に危害を加えそうなくらい怯えていたり、警戒が強い犬の場合には、自分の家には引き取らず、警察へ状況を報告するだけで良いです。発見した場所、時間、犬の特徴、どんな状況だったか、首輪などの有無、通報者の連絡先や個人情報を伝えます。その時に、もし一時預かりできるのであればその旨も伝えると、3ヶ月ほど預かることになり、その間に所有者からの連絡を待つことになります。警察でも預かってはくれるのですが、あくまでも一時的にです。最終的には保健所に回されて一定期間様子を見たあと、所有者がわからなければ愛護センターなどに送られ、預かり先を探し、それでも見つからなければ殺処分となってしまいます。
Step3.保健所に連絡する
捨て犬を警察に預けるなら不要ですが、自分の家で預かるなら、保健所へも連絡しておく必要があります。飼い主が保健所に自分の犬が保護されていないかどうか連絡をする場合があるからです。保健所に伝える内容は警察に伝えたのと同じものでかまいません。
保健所でも迷子犬を保護したり預かったりはできるのですが、あずかれる期間には期限があります。期間は地域によって異なり、約2日~30日間だとされています。その間に飼い主の申し出を待ち、動物愛護団体と提携していれば預かりや譲渡先を探します。それでもどうしても見つからなければ、殺処分となってしまいます。
なお、最近の保健所では動物に埋め込まれたマイクロチップの読み取り機を用意しているケースが増えてきています。まずはマイクロチップを読み込んで、その有無と情報の確認をしてくれます。そういう意味では、マイクロチップを埋め込んでおくことによって、何らかの事故で愛犬と離れ離れになった時、やみくもに殺処分されたり、他の人に譲渡されてしまうことが防げるかもしれませんね。
愛犬と離れ離れになってしまった時や、マイクロチップについてはこちらも参考にしてくださいね。
Step4.役場など自治体へも連絡する
迷い犬を保護する活動は自治体も行っています。保護犬の情報を公開していたり、譲渡会を開催してりしているのを見たことありませんか?もしもそうした自治体やその近隣で犬を保護した場合には、飼い主が自治体にも問い合わせる可能性があります。警察や保健所同様、自治体にも同じ情報を伝えておくと良いでしょう。
Step5.可能なら動物病院へ連れて行く
保護した時に健康そうならさほど必要ないかもしれませんが、放浪している間にノミやダニを拾っているかもしれません。また、凡の年齢、健康状態を把握するためにも、一度動物病院で健康診断をしてもらうと良いです。
健康チェックと同時に、拾った場所付近の動物病院なら、飼い主が探しているという情報も手に入るかもしれません。動物病院にも警察に話したのと同じ情報を渡しておくと、うまく飼い主に巡り合える可能性も高くなりますし、もしも巡り合えなかった場合に次の飼い主さんを探すためのアドバイスをくれることもあります。
Step6.さらに余裕があるようなら
時間的、体力的に余裕があるならば、さらに飼い主を探す手段としては動物愛護団体に飼い主から問い合わせがあった場合に備えて、保護した情報を伝える、拾った場所付近で聞き込みをするなどがあげられます。とはいっても、ほとんどの場合は迷子犬の飼い主はまず警察や保健所に届け出ると思いますので、まずはそちらに先に連絡をした後で大丈夫です。
Step7.それでも飼い主が現れないなら引き取り先を探すか自分で引き取る
最初から警察や保健所に任せるという選択もあるのですが、飼い主が見つかるまで自宅で預かることにした場合は、最終的に飼い主が見つからなかった時に備えてどうするかを決めておかなければなりません。自分で飼うのも勇気のいる決断ですので、どうぞ慎重に考えてくださいね。そして里親を探すなら、動物病院も力になってくれるでしょうし、自治体で里親探しのサービスをしてくれている所もあります。友人関係だけでなく、広く情報を集めてより良い引き取り先を見つけてあげてくださいね。
実体験!筆者が迷子犬に遭遇した時
人気の犬種が雨に濡れていた
実は筆者過去に迷子犬を実際に発見したことがあります。
車で移動中、街中から離れたちょっと寂しい道路っぷちに、可愛らしい小型犬が座り込んでいました。肌寒い小雨の降る朝で、小型犬はノーリードのまま疲れ切った様子で、駐車してある車の陰で座り込んでいたのです。
我が家にも小型犬がいますので、どうしても気になり車を降りて近づいてみると、泥で薄汚れた紙おむつを付けた比較的若い感じの犬でした。警戒しまくって威嚇し、近づくと噛みつこうとしていましたが、明らかに人間に飼われている犬でした。
保健所で殺処分されちゃうのか心配
まずは近所の家々を訪ねて、付近にこんな小型犬を飼っている犬はいないか聞いて回りましたが、だれも知らないとのことでした。いろいろと悩んだあげく、管轄の保健所に連絡をしてみました。保健所というと、「殺処分されちゃうんじゃないか?」と躊躇したのですが、まずは実際どうなのか情報を教えてもらおうと思ったのです。
すると、担当の方が次のようなことを教えてくれました。
・保健所が保護するとHP上で犬の情報を公開して飼い主を待つ
・マイクロチップリーダーで読み取り、飼い主が見つかれば連絡をする
・その保健所では、いくつかの動物愛護団体と提携しており、保健所の保護期間が終わるとそちらで預かることが多い
・実際に殺処分にまでなってしまうケースはほとんどない
特に、この時に発見した迷子犬のように、純血種らしくて、若い犬で、小型犬であれば、飼い主さんが見つからないとしても、ほとんどの場合は次の飼い主が見つかるだろうとのことでした。それでちょっと安心し、保護してもらうことにしました。
保健所の人も犬が好きだった
しばらく待つと保健所の方が保護にやってきて、マイクロチップリーダーで読み取ったのですが、この迷子犬には残念ながらマイクロチップが装着されていませんでした。
ちょっと話がそれますが、我が家の愛犬は、来た時からマイクロチップが装着されていたのですが、引越しした後、情報の更新をしていませんでした。この時の経験から、その後マイクロチップのデータ更新手続きをしたことは言うまでもありません。
少しお話をさせてもらったのですが、どうしても、見た目が汚い犬、老犬、大型犬、攻撃的な犬は、次の飼い主が見つかりにくいのですが、今回の犬はきっと万が一の時も次の飼い主さんが見つかると思います、とちょっと安心されていました。やはり、保健所で動物と触れ合っているお仕事なので、動物が好きな人のようでした。
保護犬に限らず、毎日悲しい思いや痛い思いをしている動物に触れているからか、実際にこの時の保護犬を観て、安心されたような様子に、ちょっとほっとしました。
その後どうなった?
保健所の人とお別れした後、数時間後には、この保護犬の情報がHPにアップされていました。発見した場所、身に着けていたおむつの画像なども公開されていました。そして翌日、保健所の人からお電話いただき、保健所のHPを見た飼い主さんが無事引き取りにきたというご連絡をいただきました。
お買い物中にいなくなってしまったそうで、迷子になった場所からかなり遠くまで歩いて移動していたそうです。きっと飼い主さんを探して、頑張って一晩中歩いてしまったのではないかとおっしゃっていました。
こうして、無事飼い主さんの元へ戻れたワンちゃんはよかったですが、いつ何時我が家の愛犬も迷子犬になってしまうとも限りません。例えば、災害発生時、飼い主が事故にあった時、屋外で飼い主が急病になった時、などですね。そうならないことが一番ですが、離れ離れになってしまっても、無事帰ってこれるように、鑑札を付ける、マイクロチップを装着する、飼い主の情報をつける、などの何らかの策を取っておくことが安心かもしれませんね。
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