犬を家族の一員として迎えようと決意した時、その出会いにはいろんな方法がありますよね。ブリーダーさんから直接譲り受けるとか、知り合いから子犬をもらうとか、ペットショップで出会うとか。

犬と出会える選択肢や機会はいろいろとありますが、保護された犬を迎え入れようと考える方もいらっしゃると思います。

家族がいない保護犬の新しい家族になろうと思った場合、出会いの場はどんなところなのか、手続きはどんなことが必要かとか、普段あまり目にしないので意外と知らない保護犬の引き取り方について、少し勉強してみましょう。

保護犬を引き取ろうと思ったら出会いはどこで?

その1:保健所

保護犬との出会いの場は、いくつかあります。まずは保健所です。都道府県ごとに1か所以上あります。

保健所がどういうところかというと、各地で保護した犬を2日~30日ほど預かり、所有者が名乗り出れば返還し、名乗り出がない犬に関しては定期的に譲渡会などを通じて里親を募集しています。といっても、自治体によってはその業務を動物愛護センターとか、犬猫譲渡センター、動物管理センターなど様々な名前の動物愛護センターに委託、あるいは譲渡している場合があります。ご自身がお住まいの自治体では、どのような団体が里親募集をしているのかを、ホームページなどを見て確認することができます。

また、何らかの事情で飼えなくなった犬や猫を譲渡したいという飼い主さんのための掲示板なども提供していることもあります。各都道府県名と「動物愛護」や「動物保護」、「動物指導」という単語で調べると、最寄りの該当機関を調べることができます。

参照:子犬のへや https://www.koinuno-heya.com/satooya/index.html

その2:慈善団体

また、愛護センターなど公的な機関以外で民間にも里親募集をしている慈善団体があります。こういった団体は、保護された犬を一時預かり、預かり日記など飼育状況やその犬の性格などをホームページ上で公開したあと、出会いの場を通じて里親を決めます。そのため、公的機関で選ぶよりもあらかじめ犬の性格や行動パターンを把握してから出会うことができるという利点があります。

お住いの近所でそうした団体が譲渡会を開催している場合もありますので、その場合にはホームページやSNSで譲渡会開催日程などをお知らせしているので、まずはチェックしてからお出かけしてみましょう。合わせて、譲渡する場合の条件や手続きについても掲載されていることがほとんどですので、そちらも確認しておくといいですよね。

その3:マッチングサイト

他にも、インターネットのサイトでマッチングや譲渡を行っているところもあります。基本的には、まずはサイトで会員登録をし、引き取りたいと思った子の里親募集に応募します。その後は、ルールにのっとって譲渡しようとしている方と連絡をとりあい、誓約書を取り交わしてお見合いやお試し預かりなどをしてから、それでも本当によければ実際に引き取る、という流れが多いです。

サイトによっても多少手順が違うようですので、しっかりとルールなどを確認し、責任をもって里親になるかどうかを決めましょう。なお、残念ながら一部には今一つ誠意の見えにくい悪質な団体もあります。しっかりとしたルールを定めているか、質問に丁寧に答えるか、ちゃんと誓約書を取り交わすかどうかなどを見極めた上で申し込みをしてくださいね。

マッチングサイトを紹介しておきます。これらは決して、推奨というわけではなく、比較的メジャーなだけです。実際に募集をしている相手は、個人や団体など様々で、費用の有無や金額などもまちまちです。団体が里親募集している場合には、日ごろどんな活動をしているのか、預かり日記などを読んできちんとワンちゃんのことを考えて活動しているのかなどもチェックしておくと、スムーズな取引ができるかどうかの目安になります。

ペットの里親マッチングサイト:

ペットのおうち https://www.pet-home.jp/

ジモティー https://jmty.jp/

huguハグー https://hug-u.pet/

保護犬を迎えるまでの流れ

保護犬譲渡の流れ

保健所と愛護団体の場合で若干の違いはありますが、概ね次のような流れになります。

保護犬譲渡の流れ:

①HPに犬のデータなどが公開されていれば確認し、譲渡会への応募をします

②譲渡会へ参加し、多くの犬との相性をみながら、スタッフに希望の犬を伝えて説明を受けます

③里親になりたい犬が決まったら、スタッフと面談し、場合によってはマッチングテストを受けます

④テストが合格、あるいは相性が良いことがわかれば申請書を提出できます

⑤スタッフが家庭訪問をし、犬が幸せに暮らせる環境かチェックします

⑥自治体や団体によって順番が前後することもありますが、譲渡のための講習を受講します

⑦お試し預かり(トライアル)を1週間~1ヶ月ほど行うことになります

⑦誓約書を提出し、マイクロチップの登録やワクチン摂取、健康チェックなどを行って譲渡してもらいます

保護犬の譲渡会ではたくさんの犬の中から相性の良しあしを把握し、フィーリングが合った犬を希望すれば良いのですが、その場ですぐに無料で譲渡してもらえるわけではありません。里親になる人間の側も、責任をもって犬を飼える心構えがあるか、将来にわたってしっかり飼っていけるだけの環境があるかどうかをチェックされ、万が一それらの基準をクリアできなければ断られてしまいます。また、もしも同じ犬に対して複数の里親の申し出があれば、早い方から順番か、ある程度の人が全てお見合いしてから決定というプロセスを踏みます。これは、各譲渡会の運営団体や個人の譲渡主などのルールに従うようになります。

譲渡されるまでの期間や費用、必要なもの

早い所でも、お見合いから一週間ほどかけてトライアルをしたり、講習を受けてからの譲渡手続きとなりますので、それなりに期間が必要だと思っておいてください。

なお、トライアルの間の餌代など飼育費用は、里親候補の側の負担となります。怪我や病気の場合はその団体によって取り決めが違うので最初に確認しておきましょう。

飼う事を前提として飼育環境が先に用意されていれば心配は不要なのですが、もしまだまったく用意できていないのであれば次の物は最低限用意しておきましょう。

トライアルまでに用意するもの:

・首輪、リード、迷子札
・餌となるドッグフードやおやつ、食器
・ペットシート
・ケージ
・キャリーケース
・シャンプーなどのケア用品
・犬用のおもちゃ
・犬用の寝床
・ペット用消臭スプレー

トライアルでもこれだけの物をすべて一からそろえる場合には、これらの購入費用がざっくり3~6万ほどはかかると思います。また、実際に譲渡が決定した後にも、さらに畜犬登録費が数千円設定されている所もあります。マイクロチップの登録料1000円や、譲渡の契約条件に決められた費用数万円(去勢や避妊が済んでいればその手術費用、健康診断にかかった費用など2~5万前後)の負担も必要になります。

さらに、もしもまだ未接種であれば狂犬病や各種ワクチン接種費用が数千円程度かかってきます。これらはペットショップで購入したとしても普通に必要になる料金ですので、里親になる時もそう変わらずかかるのだと思っておいてください。

保護犬を迎えるということ

心構えその1:保護犬であるとはどういうことかを想像して迎える

保護犬のバックグラウンドは様々です。飼い主がどうしても飼い続けられなくて泣く泣く譲渡に出すこともありますが、それ以外のほとんどは老犬になったり病気になったりなどの理由で捨てられたとか、虐待を受けていた、飼育放棄、事故などのアクシデントにあって迷子になったまま飼い主が名乗り出なかったなどで、犬によってはトラウマをかかえている場合も多くあります。

こうした経緯もあって、保護犬として里親を募集している犬は、子犬よりも成犬や老犬が多く、人に対して不信感を持っている可能性があるのです。ひとたび人間不信になってしまった犬は、もしかすると新しい家族になつきにくい可能性もあることはあらかじめ覚悟してください。そのうえで、根気よく信頼関係を築いていくことが重要です。

心構えその2:年齢によっては長く一緒に過ごせないこともある

保護犬となった背景には、残念ながら病気になって治療費がかかるようになったので捨てたとか、介護しきれずに放置したというものもあります。そのため、保護犬すべてではありませんが、中には引き取ったその日からすぐに結構な医療費がかかりはじめるワンちゃんもいます。また、そういった犬は体力も落ちていますから、毎日のケアも手がかかるかもしれませんし、他の犬に比べるとあまり長くは家族と一緒に暮らせないかもしれません。せっかく家族になったのにすぐにお別れをしなければいけない可能性を考えると辛いかもしれませんが、そういうことも覚悟しつつ迎え入れなければなりません。

心構えその3:しつけはできていないこともある

保護犬になる前はどこかの家庭で育てられていた犬だからといって、最低限のしつけくらいはできているだろうと考えるのは安易かもしれません。いざ引き取ってみると、残念ながらまったくしつけができていなかった!という例もあります。明らかに、しつけ方を知らなかったか間違えたかで、元の飼い主の手に負えなくてその結果、放置されてしまった犬ということもあるのです。保護団体が預かっている間にも訓練をしてくれている場合はありますが、基本的には家族に迎え入れたあとに、ご自身でしっかりしつける覚悟が必要です。そのため、保護犬の年齢やバックグラウンドによって、初めて犬を飼う方には特に飼うことが難しいこともあります。

心構えその4:独特の性格を持っているかもしれない

犬によっては、掃除機の音のような特定の音に異常に興奮するとか、子供がとにかく大嫌いだとか、他の犬とは少し違った反応をする性格を持っているかもしれません。人間と同じで、過去の経験や性格などからそうした特徴があるのは仕方がないですよね。噛み癖がある犬は、そのまま譲渡されることは少ないのですが、ちょっとくらいは癖のある子もいるかもしれないということは、覚悟しておきましょう。

心構えその5:最後まできちんと責任を持とう

保護犬であるからこその心構えをいくつか書いてきましたので、ここまで読まれた方の中には、保護犬を飼うのはちょっと難しいかもと思われた方もいるかもしれませんね。でも、どんな経緯で犬を飼育することになったとしても、必要な費用や、病院代、しつけの手間がかかるということは、同じです。また、優しさと愛情をもって、犬の気持ちを思いやりながら、犬とかかわっていくことも同じです。ただ、どんな犬でも、最後のさいごまで、しっかり向き合って責任をもって飼う覚悟は持ちましょう。

生き物を飼うということは、その命の一生を左右する大きな決断になります。ペットは飼い主さんなしでは生きていかれないのです。家族として自分がしっかり世話ができるのかどうか、その覚悟や体力面、環境面、金銭面、家族の同意を得られるのかどうかなどは、譲渡会へ行く前にしっかり考えてから決めてくださいね。

こちらもあわせて参考にしてみてくださいね。

元保護犬に新しい家族ができた!その後幸せになった子たち

犬は名前を覚えてるの?改名しても大丈夫かな・・・

捨て犬・迷子犬を発見したら、あなたはどうする・・・?

 


スポンサーリンク

 

関連記事