人懐っこくて、かわいい愛犬。普段はいい子なのですが、時には叱らなければいけない場面も。わがままを言ったり、言うことを聞かなかったり、また吠える、噛む、暴れることも…そんなとき、どうしていますか?

インターネットを見ていると、「犬の叱り方」で検索する人も多いようですが、実は、何かあったときに叱っても意味がありません。さらに、たたくとか、マズル(鼻と口の部分)をつかむといった行為は、絶対にオススメしません。

そもそも犬は、叱られたときにどう思っているのでしょうか?一緒に犬の気持ちになって、考えてみましょう。

 

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叱られたときの犬の気持ち

だいたい大きく分けて、次のケースに当てはまることが多いです。一つ目は、「飼い主が何を言っているのか分からない」というケース。二つ目は「飼い主が威嚇してきた」というケース。そして三つ目は、「飼い主と一緒に遊んでる!」というケースです。順番に詳しく見ていきます。

飼い主が何を言っているのか分からない

犬は、人間が思っている以上に、善悪が分からず行動しています。また、人間の言葉も「待て」とか「よし」とか、簡単な合図なら理解できますが、過去のことを指して「あれはやっちゃダメ」などと言われても、犬には複雑すぎて理解ができないのです。人間のように過去を振り返って「あの行動をしたから、今こうして怒られているんだな。よし、次からはもうやめよう。」ということにはなりません。

この場合、犬はただ戸惑って落ち込むことがあります。その落ち込む姿が、反省しているかのように見えることもありますが、実際は理解ができていないので、反省することもできず、ただ困惑しているだけなのです。

また、あくびをしたり、別のことをするふりをしたりすることもありますが、これはストレスを感じ、それをやわらげるために無意識にとってしまうしぐさです。自己防衛本能の一環で、決して飼い主のことをバカにしているわけではありません。

また賢い子になると、飼い主にすり寄ったり、おなかを見せたりして、とりあえず今のこの状況を早く終わらせようとしたりしてきます。どんな場合でも、さらにそれを叱ってしまってはいけません。

飼い主が威嚇してきた

先ほども説明をしたように、犬はなかなか善悪の判断がつきません。「してはいけないことをしている」という自覚がなく、また飼い主にとっては簡単なお説教でも、犬にとっては複雑すぎる話で理解することができません。そのため、強い口調でガミガミと怒られた場合、「いきなり飼い主が威嚇してきた」と勘違いをしてしまうことがあるのです。このときに目を合わせて怒ったり、叩いたり、マズル(鼻と口の部分)を掴んでしまうことは、犬を余計刺激することとなり、全く逆効果です。ひどいときには、犬が身の危険を感じて反撃に出ることもあるので、絶対にやめてください。

このようなことを繰り返していたら「飼い主=威嚇・攻撃をしてくる人」とインプットされて、信頼関係が崩壊してしまいます。飼い主とのコミュニケーションが、ストレスになってしまってはいけません。きちんと他に対処の仕方はあるので、後ほど紹介します。

 

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飼い主が遊んでくれてる!

犬は、飼い主から叱られていると分からなくて、叱っている(かまってくれている)ことを「これは遊びなのだな」と勘違いしてしまう場合もあります。そうすると、逆に「こうすれば遊んでもらえる」と覚えて、問題行動を繰り返すことになりかねません。

結論:犬に叱っても全く意味がない

人間は「叱る」「叱られる」ということを理解できますが、犬にとっては難しすぎて、どうしても分からないのです。そんな状況のなか叱り続けても、犬と飼い主の信頼関係がなくなっていってしまうだけです。しかし、だからと言って問題行動がある場合、何もしない訳にはいかないですよね。では、どうすればいいのでしょうか?その解決策も一緒に見ていきましょう。

解決策:「叱る」のではなく「合図を送る」

何か問題行動を起こしたときは、その最中、あるいは直後にシンプルな合図を送るのです。例えば外にいるなら、リードをくっと引くことが合図になるかもしれません。家のなかにいるなら、ただ一言「ダメ」「待て」などと言うだけです。

それでやめない場合は、2~3回同じように合図を送ってみて(このとき目を見続けては「威嚇」になってしまうので、言った後は目を逸らしてくださいね。)あとは徹底的に「無視」をするのです。

もし噛んできたり、暴れたりして危険な場合は、さっと他の部屋に移るなどして距離を取ります。最初はなかなか簡単にはいかないかもしれませんが、これくらいシンプルだと、犬は繰り返すうちに覚えてきます。合図を送って、あとは余計なことを言わない、ということが大切です。

毎回必ず合図を送る

問題行動を起こした場合、「まぁ今回はいつもと事情が違うしいいか。」とか「たまには許してあげてもいいか。」などと思わずに、毎回必ず合図を送ってください。

犬は「事情が違うから許された」という背景まで理解ができません。一つのことを、していいと言われたり、ダメと言われたり、が混合すると、犬は混乱してしまいます。ダメなものはどんな状況であっても、徹底的に「ダメ」と合図を送ることが大切です。

ちゃんとできたら思いきり褒めること

また、問題行動をちゃんと止めることができたあとは、思いきり褒めるようにしましょう。褒めすぎだと思うくらいでちょうどいいかもしれません。「合図に従ったら、褒めてもらえる」ということもインプットさせておけば、言うことも聞きやすくなります。

別のことで褒めて気を逸らす

問題行動をすぐに止められなくて、こちらも無視をして、冷戦状態になってしまうこともあるかもしれません。そうなってしまうと、もうどうしようもないので、その状況をあまり長引かせずに、たとえば「お手」などの“褒めてあげられること”をして、たくさん褒めてあげましょう。普段からたくさん褒めておけば、何か問題行動を起こして「ダメ」や「待て」の合図を送ったときにも、言うことを聞きやすくなります。

 

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まとめ

「叱る」と「合図を送る」とことは別です。そして、「叱る」ことは犬には効きません。余計な感情を乗せず、シンプルに合図を送ること。とにかくシンプルであることと、一貫性を持たせることが、していいこと・してはいけないことを犬に覚えさせるコツです。できるようになるまでは根気が必要かもしれませんが、飼い主も犬もお互いが気持よく過ごすために、正しいしつけをしていきましょう。


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