インフルエンザにかかると、発熱や激しい悪寒、セキは出るわ鼻水は出るわ、筋肉痛はするわ、大変ですよね。あっというまに人から人へ感染拡大する恐ろしいインフルエンザウィルスは、人によって症状は多少違うとはいえ、体力の低下した人などの場合には下手をすると死に至ることもあるので注意が必要です。そのため、同居している家族も看病しながらも自分も感染しないように注意するなど、何かと気を使いますよね。
そこで気になってくるのが、素朴なギモンとして、人から飼い犬にうつっちゃうことってないのでしょうか。
そう思いだしたらなんだか心配でいてもたってもいられない!と調べまくっている方も意外と多いのでは。今回はそんなギモンにおこたえしてみましょう。
インフルエンザ以外にも心配な感染症リスクについては、こちらを参考にしてください。
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人のインフルエンザは犬にうつるのか
人から犬へうつる可能性は限りなく低い
結論から言うと、可能性としてはまったくありえないとまでは言えませんが、普段から心配しなくてはならないほどではありません。今のところ人から犬にうつってしまう可能性は、ひょっとすると人が隕石にぶつかって死ぬよりも確立としては低いかもしれません。つまり、ほぼほぼ心配しなくて良いのです。
インフルエンザウィルスは、人や犬、鳥などそれぞれに流行し、犬から犬へなど、同種族間ではうつります。でも、その種族の間で感染しあうのはその種族に合ったタイプのインフルエンザウィルスが蔓延するのであって、種族を飛び越えて、鳥から人や人から犬などに簡単にうつることはまずないからです。
インフルエンザはタイプが合う動物にしか感染しない
ご存知のとおり、インフルエンザウィルスには多くのタイプが存在します。大きくはA型、B型~などざっくりと言われていますが、さらにH1N1とかH3N8などというように細かくタイプがわけられており、その中でもまたさらにいくつかの種別が存在します。そしてそれぞれの種別にピッタリ合う種類の細胞を持つ動物に対して感染するのです。いわば、鍵穴と鍵のような関係です。なので、ピッタリ合わない種類の動物に感染しようと思ったらものすごく特別な進化をとげなければ不可能なのです。
ただ、ごく稀にウィルスも突然変異を起こしてしまうことが知られていますよね。これがあるために、異種間でありながらウィルス感染する可能性がゼロとは言い切れないのです。さらに、突然変異がいつおこるかはわかりませんから、いつそういう状況になるかは誰にも予想することはできません。
インフルエンザウィルスについても同じです。新型のインフルエンザウィルスができた時点には、他の種族にも感染しないとは言えません。このように、別種族間でも同時にかかる可能性のあるウィルスなどの感染症を「人獣共通感染症」と言い、国立感染研究所のHPでも確認できます。
今の所、日本ではインフルエンザに関して人から犬への感染例は報告されていません。世界的に見ると数例あるようですが、インフルエンザが世界中で流行していてもほんの数例ということから、確率的には恐ろしく低いので気にするほどではないと言えます。
突然変異を心配するより普段の予防対策をしっかりしよう
種族を飛び越えて感染する例として記憶に新しいのは、今から10年ほど前(2009年)にあった新型インフルエンザウィルスがあります。ブタで発見されたH1N1亜型というニュータイプのウィルスが人にうつり、それが人から人へうつって流行してしまいました。
このタイプ、感染力が強いこともあって豚から犬にもうつったとか、人から犬へうつったこともあるのではと疑われてはいますが、これについてはまだ立証されていません。ハッキリわかっているのは、豚も人間もかかるということだけです。
このように、今までは豚同士だけだった感染が豚から人へもうつるような能力を持ってしまった突然変異ウィルスが出現したのですが、豚と人間が持つインフルエンザウィルスが感染しやすいタイプが似ていることから起こったのではと推測されていますが、そこに至る過程やいつそうなったのかは不明です。ただ、人と犬が持つ感染しやすいタイプは異なっているため、豚と人のように同じ型のインフルエンザが感染しあう突然変異型が登場する可能性はさらに低く、過度に心配する必要はありません。
それよりも、犬同士の感染の方がはるかに可能性が高いので、人間がインフルエンザに感染したよその犬からうっかり犬のインフルエンザウィルスをもらってきて、家の中に持ち込まないように気を付けたいものです。
そもそも犬にインフルエンザってあるの?
犬から犬へ広まるインフルエンザウィルスがある
今までに書いてきたとおり、犬には犬用のインフルエンザウィルスが存在しています。そのため、やはり一旦広まりはじめるとすごい勢いで犬の間で流行します。世界で見ると、アメリカでは2015年に大流行してました。
犬から人にうつることは、前章で書いた理由によりほとんどありえないのですが、もし日本でも犬インフルエンザがはやりはじめたなら、よその感染犬をかわいがったあと我が家の犬をかわいがるなどして、人を介して感染してしまうことはありますので、注意が必要です。感染経路は人インフルエンザと同様なのです。空気感染も飛沫感染もしますし、ウィルスが付着したものをなめることでも感染してしまいます。
犬インフルエンザってどんな症状が出る?
犬インフルエンザの潜伏期間は2~5日くらいで、一旦発症すると人間同様、せき、鼻水、発熱、食欲不振などの症状が出てきます。犬は人間よりも平熱が高いので、38.5度より高くなった場合は発熱しているとみなすようです。高熱となると40度以上です。せきや鼻水に関しては、1か月ほど続くこともあるようです。
感染しても症状が出ない(気が付かない)場合もあります。ほとんどの場合は、仮に犬インフルエンザに感染いsたとしても軽い症状のみで、安静にしていたらいずれは自然に治ることが多いです。とは言え、稀に重症化すると、肺炎を起こすこともあり、重症化がもとで命を落とすこともありますので油断は禁物です。子犬や高齢の犬は特に注意が必要といったところも、人間のインフルエンザと同じような感じですね。
症状に気付いたらどうすれば良い?
もしも愛犬の咳や鼻水、なんとなく元気がない、食欲がない、息が切れていていつもより早いなどの風邪に似た症状に気付いたなら、早めにかかりつけの動物病院へ行ってください。人間でもそうですが、インフルエンザは風邪と似たような症状が出るために、正しい処置をしたいのであれば正確な診断が必要になります。インフルエンザと似たような症状で、アデノウィルスによるものや、パラインフルエンザなどがありますので獣医さんに説明を聞きながら体調の変化に気を付けてあげましょう。
それと同時に、他の犬にうつしてしまわないように注意することも大事です。発症から4~7日間はウィルスをまきちらしていることになります。多頭飼いの場合は特に、り患した犬を他の部屋に隔離するなどして、感染を予防するようにしましょう。
また、水分をたっぷりとらせ、食欲があるようであれば消化の良いものを食べさせるようにしましょう。もしも食べたがらなかったとしても、食べないことで身体の回復にエネルギーをまわすので、無理に食べさせる必要はありません。たっぷり愛情をかけて注意深く見守ることが最大の看病になります。
犬インフルエンザに予防方法はあるのか
ワクチン接種
人間であれば、秋から冬にかけてインフルエンザが流行りだす前に、インフルエンザワクチン接種によって予防しようとする人が多いですよね。犬の場合も同様で、犬インフルエンザに対するワクチンはアメリカで改良されて存在しています。ただ、日本ではあまり犬インフルエンザが流行っていないことから、あまり広く一般的には使われていません。もしも日本でワクチンを打ちたい場合には、まずはかかりつけの獣医師に可能かどうかを確認してみてください。
通常、犬の場合の感染症予防ワクチンと言えば、単独でワクチンを打つのではなくて5~8種類の混合ワクチンを打って複数の病気に効力を持たせています。日本でよくかかりやすい種類のワクチンが配合されていますので、犬インフルエンザだけに特化したものを個別に打つことは通常あまり行われていないようです。
ワクチン接種はよく相談して
また、具合が悪くなってからワクチンを打つのはあまり得策ではありません。ワクチンの効果が持続する期間によって3~5年ごとに打つと良いと考えられている病院もあれば、1年ごとに打つ方が良いと考えられている病院もあります。ワンちゃんの年齢や既往歴、体力などによっても、メリットどころか副作用などのデメリットの部分が強いことになるかもしれませんので、ワクチンの接種をしたほうがよいかどうかは、獣医さんと相談しながら飼い主さんの方で慎重に検討してみてくださいね。
既に書いた通り、たいていの犬の場合には、仮にインフルエンザにかかったとしても軽度な症状で治ることがほとんどです。ワクチンの接種は、少ないとはいえ、アナフィキラシーショックなどの恐ろしいリスクもありますので、インフルエンザを予防したいがために必要以上に多くの種類のワクチンを接種して健康被害のリスクを高めるということもリスクであることは覚えておいた方がいいでしょう。
ちなみに、参考までにワクチン接種の費用は、5~6種混合ワクチンで5000円~7000円ほど、7~8種混合ワクチンで6000円~10000円ほどになるようです。
ワクチン接種についてはこちらでもご紹介していますので、参考にしてください。
>愛犬の健康に必要なワクチン、副作用は大丈夫?犬の予防接種の料金と接種後の注意点は?
基本的な感染予防策が一番の予防方法
ドッグランなどのように、犬が多く集まる場所へ行くことが頻繁である場合はワクチンでの予防も一つの方法ではありますが、まずは人間を介してうつしてしまわないようにすることが基本です。手洗いを気を付けたり、他の犬に接触したあとは着替えてから愛犬とたわむれるなど、基本的な部分でも多くの場合は予防が可能だからです。
また、普段からバランスの良い食事をさせたり、質の良い睡眠や規則正しい生活リズム、ストレスの少ない生活に気を付けることでもかなりの予防となります。本当に、人間と同じですね。
家族がインフルエンザになったら注意すべき点
家族がインフルエンザになってしまったら、その人の抵抗力が落ちているということになりますよね。犬インフルエンザは犬から人にうつらないし、人インフルエンザも人から犬にはうつりません。でも、他のウィルスや菌で人間と犬が共通感染できるものはあるので、うっかり犬から他の菌を人間がもらってしまわないよう、病気の時はあまり犬にさわらないようにした方が良いでしょう。これまた稀ではありますが、複数の感染症に重複して感染すると目も当てられないことになりますよね。
一人暮らしをしている場合などで、自分が寝込んでしまうと他にペットの世話ができる人がいない場合などは、日ごろから万が一の場合には、親族やペットシッター、友人などに世話をしてもらえるようにあらかじめ頼んでおくと、いざという時に安心です。
こちらも参考にしてみてくださいね。
>ペットホテル気になる口コミは?大手ペットホテルをチェック!
どう頑張っても、散歩やトイレの始末などができない日もあると思います。寝込んだ時、入院した時のペットの世話は気がかりの一つでもありますよね。元気なうちに対策を考え、いざという時にすぐに頼めるように手配しておくと自分も安心してゆっくり休めます。はやく人間の体調が良くなることが愛犬のためでもありますので、気兼ねせず休める体勢作りはしておきましょうね。
参考:NATIONAL GEOGRAPHIC 『新型犬インフルを確認、人間で大流行の可能性は?』 https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/16/b/061200192/
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